【プレビュー】「もの派」の代表的存在、東京で初の大規模回顧展 「国立新美術館開館15周年記念 李禹煥」 国立新美術館で8月10日から

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥 |
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会場:国立新美術館 企画展示室1E[東京・六本木] |
会期:2022年8月10日(水)~11月7日(月) |
休館日:火曜日 |
アクセス:東京メトロ千代田線 乃木坂駅 青山霊園方面改札6 出口(美術館直結)、東京メトロ日比谷線 六本木駅 4a 出口から徒歩約5 分、都営地下鉄大江戸線 六本木駅 7 出口から徒歩約4 分 |
入館料:一般1,700円、大学生1,200円、高校生800 円 ※中学生以下は入場無料。 ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料。 |
詳しくはhttps://leeufan.exhibit.jp/へ。 |
国際的に注目を集めてきた「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン、1936年生)の大規模回顧展。東京では初めての開催となります。今展では李自ら展示を構成を考案。1960年代の最初期の作品から最新作まで、李の仕事を網羅的に振り返ります。彫刻と絵画の二つのセクションに大きく分かれており、それぞれの展開の過程が時系列的に理解できるように展示されます。

1968年ごろから制作された〈関係項〉は、主に石、鉄、ガラスを組み合わせた立体作品のシリーズ。素材にはほとんど手を加えていません。李は観念や意味よりも、ものと場所、ものと空間、ものともの、ものとイメージの関係に着目しています。1990年代以降、ものの力学や環境に対しても強く意識を向けるようになっています。

石:約80 × 60 × 80 cm、鉄:240 × 200 × 1.6 cm、ガラス:240 × 200 × 1.5 cm 森美術館、東京 Photo: Kei Miyajima

展示風景:「ル・コルビュジエの中の李禹煥 記憶の彼方に」展、ラ・トゥーレット修道院、エヴー、フランス、2017年
© Foundation Le Corbusier, photo: Jean-Philippe Simard

© Claire Dorn, Courtesy Lee Ufan and Lisson Gallery
李は、1970年にニューヨーク近代美術館でのバーネット・ニューマンの個展に刺激を受けました。幼少期に学んだ書道の記憶を思い起こし、絵画における時間の表現に関心を強めました。70年代初頭から描き始めた〈点より〉と〈線より〉のシリーズは、色彩の濃さが次第に強くなっていく過程を表しています。このシリーズは10年ほど続けられました。

国立国際美術館


1980年代に入ると、〈風より〉と〈風と共に〉のシリーズに顕著なように、画面は荒々しい筆遣いによる混沌とした様相を呈してきます。80年代の終わりごろからはストロークの数は少なくなり、画面は次第に何も描かれていない空白が目立つようになります。2000年代に入ると描く行為は極端に限定され、ほんのわずかなストロークによる筆跡と、描かれていない空白との反応が試されます。これらは空間的な絵画のシリーズといえます。



李は2014年にフランスのヴェルサイユ宮殿で個展を開催した際、ステンレスの巨大なアーチ状の野外彫刻《関係項ーヴェルサイユのアーチ》を設営。大きな話題となりました。本展では、国立新美術館の野外展示場でアーチ状の野外彫刻の新作が披露される予定です。
(読売新聞美術展ナビ編集班)