【各界のマンガ好きが推す!】今年の「マンガ大賞」は『ダーウィン事変』――15年目を迎えても、変わらない「読者の目」

各界のマンガ好きが「今、一番薦めたいマンガ」を選ぶ「マンガ大賞2022」が3月28日に発表され、東京・有楽町のニッポン放送で授賞式が行われた。15回目の今回、大賞に選ばれたのは、『ダーウィン事変』(作:うめざわしゅん、「月刊アフタヌーン」で連載中、単行本は講談社から3巻まで発売中)。人間とチンパンジーの間に生まれた“ヒューマンジー”のチャーリーが主人公の作品だ。

受賞作『ダーウィン事変』の単行本

15歳になって高校に入学したチャーリーが直面するのは、そのチャーリーを「動物解放」という自分たちの目的の旗印にしようともくろむ「ALA(動物解放同盟)」のテロ活動と、それに刺激されてチャーリー一家を白眼視する町の人々の姿。「差別」「権利」など、人間社会に普遍的に存在するテーマが物語から浮かび上がってくる。

『ダーウィン事変』第1話から ⓒうめざわしゅん

授賞式では、都合により出席できなかったうめざわさんに替わって、編集者の寺山晃司さんが「この度は大変名誉ある賞に選んで頂き誠にありがとうございます(中略)。自分の作品ながら「読むのにパワーの要る漫画だなぁ」と常々思って描いているので、つき合ってくれている読者の方々は本当に有難い存在です。まだしばらく物語におつき合い頂ければと思っております」などとするメッセージを代読した。寺山さんは「コロナ禍になる前に、作品のプロトタイプ(原型)を見せてもらいながら『何がやりたいのか』という話を1時間以上聞いた。動物の権利についてなど、舌を巻くほどよく調べてあって、すぐに連載が決まった。世界中の人に読んでもらいたい作品です」などと喜びを語った。

大賞に選ばれたマンガ家たちは毎回、受賞記念の絵を寄せてくれる

2008年に創設された「マンガ大賞」は今回で15回目。第1回の『岳』(作:石塚真一)を手始めに、『ちはやふる』(作:末次由紀、第2回)、『テルマエ・ロマエ』(作:ヤマザキマリ、第3回)など、受賞作品は話題作ばかり=表=。『テルマエ・ロマエ』のように、受賞をきっかけに大ヒットした作品もある。創設したきっかけは、「読者が本当に『面白い』と思っている作品を選ぶ賞が当時なかったから」と実行委員を務めるニッポン放送の吉田尚記アナウンサー。「当時ボクは、音楽とマンガがテーマの番組をやっていて、書店巡りを結構していたんですよ。書店員さんたちに『どうしてそんな賞がないんですか』と聞いたら『たぶんめんどくさいからじゃないですか』って。だったら、自分たちでそういう賞を作ろうと思ったんです」と説明する。

授賞式で司会を務める吉田アナウンサー

モデルとしたのは、「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本」がキャッチフレーズの「本屋大賞」だ。約100人の「マンガ好き」が選考委員になって大賞候補を推薦し、その得票数でノミネート作品10作をまず決定する。これが第1次選考。そのノミネート作品を選考委員がすべて読み、どの作品がふさわしいかを第2次選考の投票で決める。「単行本を買うのも自費だし、実行委員、選考委員に対する謝礼もない。まったくの手弁当。“おまけ”といえば、大賞が発表された後の打ち上げで、漫画家さんと直接いろいろな話ができること。まあ、これもコロナ禍で今はなくなっているんですが」。こう笑いながら話すのは、実行委員会のスーパーバイザーを務める鳥谷規・ニッポン放送シニアマネージャーだ。

28日には発表とともに授賞式も行われた(左が講談社の寺山さん)

純粋に「マンガ好き」の賞を決めるため、作品選定によっては利害関係が生じる可能性のある漫画家、編集者、原作者などは委員に入っていない。「吉田アナウンサーがマンガの原作を担当した時は、一時的にはずれてもらった」と鳥谷シニアマネージャーはいう。「マンガにそこまで興味が無い人、興味があっても『今、何が面白いの』と思っている人たちに『これをぜひ読んでもらいたい』という考えで始めた賞ですから、大賞作品はなるべく多くの人の眼に触れて欲しい。だから、書店との連携も綿密に取っています。もう一つあるのは、『マンガを作っている人に報いたい』という気持ち。そういう想いは、始めた当初から今も変わりません。まあ、“趣味”のようなものですから、今後もスタンスを変えず、できる限り続けようと思っています」と吉田アナウンサーは話してくれた。

マンガ大賞の詳細は、こちら(https://www.mangataisho.com/)で。『ダーウィン事変』の情報などは、こちら(https://afternoon.kodansha.co.jp/)で。

マンガ大賞歴代受賞作

 

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