【開幕】「大蒔絵展 漆と金の千年物語」MOA美術館で5月8日まで 漆器を通じて日本の美の歴史に触れる

【上】国宝 源氏物語絵巻 柏木一 平安時代(12世紀) 徳川美術館【左下】国宝 浮線綾螺鈿蒔絵手箱 鎌倉時代(13世紀) サントリー美術館【右下】国宝 初音蒔絵貝桶 江戸時代(17世紀) 霊仙院千代姫(尾張徳川家2代光友正室)所用 徳川美術館

大蒔絵展 漆と金の千年物語
会場: MOA美術館(静岡県熱海市桃山町)
会期: 2022年4月1日(金)~ 5月8日(日) ※展示替えあり
開館時間: 午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで)
休館日: 木曜日
観覧料:一般1,600円/高大生1,000円・要学生証/中学生以下無料/65才以上1,400円・要身分証明
アクセス: JR東海道新幹線・東海道線 熱海駅下車、駅前バスターミナル8番乗り場よりMOA美術館行 約7分終点下車
[3館共同開催] ※出品作品は会場ごとに異なります。
三井記念美術館:2022年10月1日(土)~ 11月13日(日)/徳川美術館:2023年春
詳細は、MOA美術館のHP

開幕前日の内覧会を取材しました

4月1日にMOA美術館で始まる「大蒔絵展  漆と金の千年物語」の内覧会に伺いました。「私立美術館でも3館集まればこれだけの展覧会ができる」(内田篤呉館長)との言葉通り、MOA美術館、三井記念美術館、徳川美術館の共同開催で実現した国宝16点、重要文化財32点を含め約180点のラインナップは豪華絢爛です。

平安の王朝美

国宝 源氏物語絵巻 柏木一 平安時代(12世紀) 徳川美術館

中でも、名古屋市の徳川美術館の国宝「源氏物語絵巻」(平安時代)は、館外での出展はほとんど無いとのことで、愛知県以外の人には貴重な鑑賞の機会です。雅な平安王朝を描く絵巻には、黒い漆器(蒔絵でなく螺鈿だそうです)を見ることができます。

頼朝奉納の硯箱 後期には北条政子の「化粧道具入れ」

いま話題の鎌倉時代の蒔絵も。この硯箱は後白河法皇から譲られた源頼朝が奉納したという鎌倉・鶴岡八幡宮の国宝です。

国宝 籬菊螺鈿蒔絵硯箱 鎌倉時代 鶴岡八幡宮

手箱とは化粧道具入れで、この国宝の手箱は螺鈿がふんだんに使われた超豪華仕様。誰のものだったのでしょうか?

国宝 浮線綾螺鈿蒔絵手箱 鎌倉時代(13世紀) サントリー美術館

手箱について説明する内田館長

なお北条政子が三嶋大社に奉納した手箱(国宝)が後期に展示されます。

花開いた金色の美

重要文化財「秋草蒔絵歌書箪笥」桃山時代 16世紀 高台寺(前期展示)。豊臣秀吉かその妻ねねが使った可能性が高いという

国宝 初音蒔絵文台硯箱 江戸時代(17世紀) 霊仙院千代姫(尾張徳川家2代光友正室)所用 徳川美術館

徳川美術館の国宝「初音の調度」は、3代将軍・徳川家光の娘が尾張徳川家に嫁いだときの婚礼調度品で、江戸時代の贅と技術を尽くした蒔絵の名品群です。

蒔絵に入っているのは?

展示では、高級品の蒔絵は一体なにを入れるためのものか?についても分かります。重要文化財「花蝶蒔絵念珠箱」は高野山の金剛峯寺の寺宝。空海が唐の皇帝から下賜された色ガラスの念珠を収めるためのものです。この空海の念珠も一緒に公開されています。

重要文化財「花蝶蒔絵念珠箱」平安時代 12世紀 金剛峯寺と念珠 (前期展示)
重要文化財「久能寺経法師功徳品」平安時代 12世紀 五島美術館 (前期展示)。蒔絵の箱に収められるものとしては装飾されたお経もあった

蒔絵とは何をまく?

そもそも蒔絵まきえとは?絵巻えまきと違うの? 漆で下絵を描いて乾かないうちに金粉をいて、磨いて仕上げるーーこの工程の説明(記者会見での資料)が分かりやすかったです。

記者会見で

現代に続く日本独自の漆の工芸

漆は縄文時代からあり、なかでも蒔絵技法は古代中国でも見つかっていない日本独自の技法。本展は平安時代から江戸時代までの過去の歴史だけでなく、今に続く蒔絵文化を紹介します。人間国宝・室瀬和美さんの蒔絵螺鈿丸筥「秋奏」(2017年)はリスがモチーフ。ドングリはチタンを使っているのだとか。

室瀬和美作 蒔絵螺鈿丸筥「秋奏」(2017年)ポーラ伝統文化振興財団
白山松哉作「蒔絵八角菓子器」明治44年(1911) MOA美術館。まさに超絶技巧

ミュージアムショップでは

ミュージアムショップでは、地元の静岡県の作家による漆器、復興支援のため福島県の会津漆器、そして室瀬さんら有名な作家の作品など、漆の工芸品を購入することができます。

ミュージアムショップ
地元の静岡県の作家の漆工芸が並ぶコーナー
福島県の会津漆器が並ぶコーナー
蒔絵で描かれた虎のひげや虎模様が特徴の室瀬さんの作品

「大蒔絵展 漆と金の千年物語」はMOA美術館(熱海)で4月1日〜5月8日まで。国宝16点について展示期間をまとめましたので参考にしてみてください。

【4月1日〜4月8日】

国宝 源氏物語絵巻 柏木一 平安時代(12世紀) 徳川美術館

【4月1日〜5月8日】

国宝 手鑑「翰墨城」 奈良~室町時代 MOA美術館

【4月1日〜4月20日】

国宝 籬菊螺鈿蒔絵硯箱 鎌倉時代 鶴岡八幡宮

国宝 浮線綾螺鈿蒔絵手箱 鎌倉時代(13世紀) サントリー美術館

国宝 初音蒔絵貝桶 江戸時代(17世紀) 霊仙院千代姫(尾張徳川家2代光友正室)所用 徳川美術館

国宝 初音蒔絵十二手箱 江戸時代(17世紀) 霊仙院千代姫(尾張徳川家2代光友正室)所用 徳川美術館

【4月17日〜5月8日】

国宝 山水蒔絵箏 平安時代(12世紀)春日大社

【4月22日〜5月8日】

国宝 梅蒔絵手箱 鎌倉時代(13世紀) 三嶋大社

国宝 桐蒔絵手箱 南北朝時代(14世紀) 熊野速玉大社

国宝 海賦蒔絵袈裟箱 平安時代(10世紀) 教王護国寺

国宝 澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃 平安時代 12世紀 高野山金剛峰寺

国宝 一字蓮台法華経 平安時代(12世紀) 大和文華館

国宝 法華経(久能寺経)化城喩品 平安時代 鉄舟寺

国宝 初音蒔絵文台・硯箱 江戸時代(17世紀) 霊仙院千代姫(尾張徳川家2代光友正室)所用 徳川美術館

国宝 胡蝶蒔絵挟箱 江戸時代(17世紀) 幸阿弥長重 徳川美術館

【5月1日〜5月8日】

国宝 源氏物語絵巻 宿木一 平安時代(12世紀) 徳川美術館

坂東玉三郎さんら人間国宝スペシャルトークイベントも

4月29日(金・祝)午後2時から、MOA美術館の能楽堂で関連イベント「開館40周年記念 人間国宝スペシャルトーク」(料金4,000円、入館料込み)が開催されます。坂東玉三郎さん(歌舞伎役者)、室瀬和美さん(漆芸家)、藤沼昇さん(竹工芸家)、土屋順紀(染織家)さんの4人の人間国宝(重要無形文化財保持者)がトークをします。申し込みなど詳しくは同館のHPで。

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(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)

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