【プレビュー】ゴッホの《刈り入れ》など名作100点超 「国立西洋美術館 リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」展 6月4日開幕

フィンセント・ファン・ゴッホ《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》1889年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen

日独を代表する美術館のコラボレーション

1年半の休館を経て、この4月9日にリニューアルオープンする国立西洋美術館が、夏を迎えて満を持して放つ大型展です。ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館の協力を得て、自然と人の対話から生まれた近代の芸術の展開をたどる意欲的な内容です。両館の豪華なコレクションを楽しめます。

展覧会名:国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで

会期:2022年6月4日(土)~9月11日(日)

会期:国立西洋美術館(東京・上野)

開館時間:午前9時30分~午後5時30分(金・土曜日は午後8時まで)

休館日:月曜日、7月19日(火)(※ただし、7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館)

料金:一般2000円、大学生1200円、高校生800円

展覧会公式サイト(https://nature2022.jp) 問い合わせハローダイヤル(050-5541-8600)

今回の記念展は日本とドイツを代表する優れた個人コレクターのコレクションがその元になっています。日本側は「松方コレクション」で名高い松方幸次郎(1866ー1950)、ドイツ側はカール・エルンスト・オストハウス(1874-1921)です。

株式会社川崎造船所(現川崎重工業(株))初代社長 松方幸次郎 写真提供:川崎重工業株式会社
Albert Renger-Patzsch, Karl Ernst Osthaus, before 1921 © Museum Folkwang, Essen

神戸の川崎造船所を率いた松方が、1910年代後半~20年代後半にかけてパリやロンドンで買い集めた「松方コレクション」が基礎になり、1959年に国立西洋美術館が開設。一方、銀行家の家に生まれたオストハウスが1902年、ドイツ・ハーゲンに設立したのがフォルクヴァング美術館です。こちらも優れた近現代美術のコレクションで知られています。今回はこの両館による豪華なコラボレーション企画。先行してドイツで開催される展覧会(2022年2ー5月)とは、テーマと作品を変えて東京で開催されます。

© Museum Folkwang, Essen, photo: Sebastian Drüen

紹介されるのはドイツ・ロマン派から印象派、ポスト印象派、20世紀絵画まで100点を超える作品で、ヨーロッパにおける自然表現を紹介していきます。フォルグヴァング美術館からは、晩年のゴッホの代表的な風景画である《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院の裏の麦畑)》が初めて来日します。

展覧会は以下の4章から構成され、ドイツ・ロマン派の巨匠フリードリヒ、ドイツが生んだ現代アートの巨匠リヒターの作品も登場。近年、国際的に注目を集めているフィンランドの国民的画家、ガッレン=カレッラの作品も初めて日本で公開されます。いつもの「西美」とはひと味違った刺激的な顔触れが楽しめます。

Ⅰ章 空を流れる時間

おなじみの印象派の作品のコレクションを中心に。リヒターも。

ウジェーヌ・ブーダン 《トルーヴィルの浜》1867年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館
エドゥアール・マネ 《嵐の海》1873年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館 旧松方コレクション
クロード・モネ 《舟遊び》1887年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館 松方コレクション
ゲルハルト・リヒター 《雲》1970年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Gerhard Richter 2022 (13012022) © Museum Folkwang, Essen

Ⅱ章 「彼方」への旅

心象や観念と結びついた自然表現にフォーカスします。

ヨハン・クリスティアン・クラウゼン・ダール《ピルニッツ城の眺め》1823年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen
ポール・ランソン 《ジギタリス》1899年 テンペラ・カンヴァス 国立西洋美術館
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ《夕日の前に立つ女性》1818年頃 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen
ポール・ゴーガン 《扇を持つ娘》1902年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen

Ⅲ章 光の建築

自然の中から構造や法則を見出し、新しい表現へ結び付けていきます。注目のガッレン=カレッラやモンドリアンも。

ポール・セザンヌ 《ベルヴュの館と鳩小屋》1890-1892年頃 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen
ポール・シニャック 《サン=トロペの港》1901-1902年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館
アクセリ・ガッレン=カッレラ 《ケイテレ湖》1906年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館
フェルディナント・ホドラー 《モンタナ湖から眺めたヴァイスホルン》 1915年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen
ピート・モンドリアン 《コンポジションX》1912-1913年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen

Ⅳ章 天と地のあいだ、循環する時間

人と自然の関係性の根源へ

エミール・ノルデ 《木材の積み込み I》1911年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Nolde Stiftung Seebüll © Museum Folkwang, Essen
エドヴァルド・ムンク 『アルファとオメガ』:(17)《絶望するアルファ》1908-1909年 リトグラフ 国立西洋美術館
フィンセント・ファン・ゴッホ《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》1889年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen
クロード・モネ 《睡蓮》1916年 油彩・カンヴァス 国立西洋美術館 松方コレクション
エンネ・ビアマン 《睡蓮》1927年頃 ゼラチンシルバー・プリント フォルクヴァング美術館 © Museum Folkwang, Essen

ゆったりと作品との対話を楽しみたくなる素晴らしいラインナップが揃いました。この展覧会が開幕するころには、そうした平安なひと時が楽しめる状況になっているよう祈りたいものです。


(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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