【開幕】日本人の豊かな感性が生み出した美 春季特別展「懐石の器 炉の季節」 滋賀・MIHO MUSEUMで6月5日まで

コレクションの原点である茶道具と懐石の器から、名品を選りすぐって展示する春季・夏季特別展「懐石の器」が、MIHO MUSEUMで開幕した。春季展では「炉の季節」、夏季展では「風炉の季節」を基本に魅力的な取り合わせを紹介する。

懐石とは“ふところの石”、修行中の禅僧が石を温めて懐にいだき、一時の空腹をおさえたという伝承から生まれた言葉といわれる。禅の精神性と簡素な料理を茶の湯に取り入れ、懐石の形を始めたのは、あの千利休だ。正式の茶会(茶事)で出される食事のことを、お茶を美味しくいただく前のお腹を温めるほどの質素な食事の意味で、「懐石」と呼ぶようになり、江戸時代中期には、今日の懐石につながる形式が整ったといわれている。

本展は、会場をひとつの茶会に見立て、「席入り」から「後座」まで、懐石の流れに沿って名品を紹介する。

MIHO MUSEUMの創立者である小山美秀子は、娘時代から茶の湯の稽古をたしなみ、茶の湯は人として基本の礼法や常識を育む高度な日本文化であると考えていた。同館コレクションは茶道具から始まったという縁もある、ここでしか楽しめない様々な取り合わせが堪能できる。同館所蔵の大井戸茶碗「小一文字」(益田鈍翁・松永耳庵旧蔵)の初出品や、光悦や乾山の名碗などが並ぶ。
春季展は6月5日まで。事前予約制。

<開催概要>

展覧会名:春季特別展 懐石の器 炉の季節

会期:2022年3月19日(土)~6月5日(日)

会場:MIHO  MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町)

休館日:月曜日

アクセス:JR琵琶湖線石山駅よりバスで約50分

観覧料金:大人1300円、高校・大学生1000円、小学・中学生無料(事前予約制)

詳細は公式サイト(https://www.miho.jp/)へ。