【開幕】珠玉の109点 美人画から庶民の暮らしまで幅広く表現 「没後50年 鏑木清方展」 東京国立近代美術館で5月8日まで

日本画の巨匠、鏑木清方(1878~1972)の大規模回顧展です。没後50年の節目に相応しく、《築地明石町》三部作など代表的な作品を含む109点という充実の内容。美人画家、のイメージの強い作家ですが、本展では社会画や風俗画なども幅広く紹介、庶民の暮らしを細やかに描いた清方の魅力を再発見します。
没後50年 鏑木清方展 |
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会場:東京国立近代美術館(東京・竹橋) |
会期:2022年3月18日(金)~5月8日(日) |
休館日:月曜(3月21日、28日、5月2日は開館)、3月22日(火) |
開館時間:午前9時30分~午後5時(金曜・土曜は午後8時まで開館)*入館は閉館の30分前まで |
アクセス:東京メトロ東西線竹橋駅より徒歩3分 |
観覧料:一般1,800円 大学生1,200円 高校生700円 中学生以下無料 |
京都展 会場:京都国立近代美術館 会期:5月27日(金)~7月10日(日) |
詳しくは公式サイトへ |
開幕前日の内覧会を取材しました
3月18日(金)から始まる「没後50年 鏑木清方展」(東京国立近代美術館)の内覧会に伺っています。控えめに言って最高です。
40年ぶりの「左右」そろい踏み 「★★★」の会心作

40年ぶりに左幅、右幅が揃って展示された「ためさるゝ日」(1918年)がやはり素晴らしくて見惚れました。長崎の絵踏みが画題です。特に30年ぶりの公開となる左幅は本人が会心の出来(本展では「★★★」と表記)と自己評価したのも納得です。なお左幅の展示期間は3月18日~4月17日、右幅の展示期間は3月18日~4月3日で、両方揃ってみられるのは4月3日まで。ご注意ください。
三部作は全期間展示
東京国立近代美術館が誇る「築地明石町」「浜町河岸」「新富町」の三部作揃い踏みももちろん眼福です。なお清方を代表する《築地明石町》三部作、《明治風俗十二ヵ月》とも全会期、展示されます。

庶民の暮らし丁寧に
美人画家、で括られがちな巨匠ですが、本展では清方自身が強くこだわりを持ち続けた社会画、風俗画、卓上芸術にフォーカスします。明治の庶民の何気ない日常を描いたこちらの「鰯」(1937年)はその真骨頂、と主任研究員の鶴見香織さん。
厄除けの品、のりの看板、様々な食べ物など、生活のディテールを描ききっています。「中層以下の階級の暮らし」に強い関心を持ったという清方ならでは、の作品でしょう。
浄瑠璃や歌舞伎に題材を取った作品ももちろん出色。日本画のみの109点。回顧展初公開も10点以上。ボリューム満点です。

展示替え等の情報
ファンが気になるのは展示替えの情報。以下の通りです。
(1)3月31日まで・・《雨月物語》《遊女》等が撤収
(2)4月 1日から・・《黒髪》《薄雪》《註文帖》等が登場
(3)4月12日から・・《讃春》等が登場
(4)4月19日から・・《若き人々》《露の干ぬ間》等が登場
また、巡回する京都国立近代美術館に出品されない作品は以下の通りです。
《若き人々》二階堂美術館
《隅田川両岸(梅若塚・今戸)》川口市
《黒髪》
《幽霊図扇面》永青文庫
《道成寺 鷺娘》大谷コレクション
《讃春》宮内庁三の丸尚蔵館
《春宵怨》横浜美術館
グッズもステキ
グッズもかわいくて♡トートバックやエコバッグ、三部作にモチーフを得たてぬぐいなど、たまりません!
「没後50年 鏑木清方展」は東京国立近代美術館で3月18日(金)〜5月8日(日)まで。京都国立近代美術館へ巡回。見逃せない充実の展示です。詳しい情報は↓の記事をご覧ください。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)