【新刊BOOKS】紬織の人間国宝、初の本格的な評伝『志村ふくみ 染めと織り』(求龍堂)

書名:「美」の人物伝シリーズ『志村ふくみ 染めと織り』

著者:志村ふくみ

   古沢由紀子(読売新聞東京本社編集委員、聞き書きと評伝)

発行:株式会社求龍堂(書籍および電子書籍を同内容で刊行)

本体価格:3000円+税

製本:上製本カバー掛け 総頁:336頁

求龍堂公式オンライストア(https://www.kyuryudo.co.jp/

紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)で、源氏物語や和歌、現代アートなどをモチーフに取り入れた幅広い作風と、独特の豊かな色彩感覚で伝統工芸の世界に新風を吹き込み、2015年には文化勲章を受章した志村ふくみさん(1924~)の初の本格的評伝です。

関東大震災の翌年に生まれた志村さんは、実母から織物の手ほどきを受けます。その後、民藝の主導者の柳宗悦をはじめ、雑誌「青踏」に参加した富本一枝、その夫で陶芸家の富本憲吉、木漆工芸家の黒田辰秋ら名だたる顔触れが志村さんを後押し。斬新な作風で元来、農村女性の手仕事だった紬織を「芸術の域に高めた」と評価されるまでになりました。2013年には京都に芸術学校「アルスシムラ」を長女の洋子さんとともに開校、後進の指導にも熱心に取り組んでいます。また2018年には石牟礼道子さん原作の新作能「沖宮」の衣裳を監修、話題を集めました。今も各地の美術館では作品を紹介する展覧会が開催され、熱心なファンを集めています。

本書は読売新聞連載「時代の証言者 志村ふくみ」(2013年)をもとに新たに書籍として執筆され、志村さんの聞き書きを中心にまとめられています。近年の志村さんの活動にも触れており、戦後の工芸や女性の歴史を語る上で、欠かすことができない存在である志村さんの歩みを詳しく知ることができます。図版も103点(うちカラー38点)と豊富。志村さんの織物の代表作も紹介されています。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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