【プレビュー】20世紀のアートの代表作を紹介――「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション」 国立新美術館で6月29日開幕

「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション」 |
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会場:国立新美術館企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2) |
会期:2022年6月29日(水)~9月26日(月) |
休館日:火曜日 |
アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅青山霊園方面改札6出口から美術館に直結、日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分、都営地下鉄大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分 |
※最新情報は、公式HP(https://ludwig.exhn.jp/)で確認を。問い合わせはハローダイヤル(050・5541・8600)へ |
ドイツ第4の都市、ケルン市が運営するルートヴィヒ美術館は、20世紀から現代までの美術品を収集・紹介する美術館。そのコレクションは、市民からの寄贈をもとに形成されてきた。この展覧会では、館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻をはじめとするコレクターたちに焦点を当て、ドイツ表現主義や新即物主義、ピカソ、ロシア・アヴァンギャルド、ポップ・アートなど、絵画、彫刻、写真、映像を含む代表作152点を紹介する。

ライン河畔にルートヴィヒ美術館が開館したのは1986年。ともに大学で美術史を学んだルートヴィヒ夫妻が1976年にケルン市に寄贈した約350点の作品が基になっている。それに加えて、ケルン市立のヴァルラフ=リヒャルツ美術館から1900年以降の作品が移管され、現在の美術館の礎が築かれた。ヴァルラフ=リヒャルツ美術館からの移管品は、ケルンの弁護士、ヨーゼフ・ハウプリヒが1946年に寄贈したドイツ近代美術の作品が核になっており、ポップ・アートやロシア・アヴァンギャルドのコレクションは、ルートヴィヒ夫妻の寄贈品を核に形成された。また、写真・映像部門はグルーバー夫妻から寄贈されたコレクションが基になった。

今回の展覧会で紹介される作品は152点。アンディ・ウォーホルによる《ペーター・ルートヴィヒの肖像》は、美術館の名前にもなったコレクターを描いたもの。リキテンスタインの《タッカ、タッカ》、ジャスパー・ジョーンズの《0-9》など、ポップ・アートのコレクションは、ヨーロッパで最大級のものだ。ハウプリヒが集めた作品の多くは「退廃芸術」としてナチス・ドイツ時代に公共の場から駆逐されたもの。学生時代のルートヴィヒも、ハウプリヒのコレクションを見て、深く感銘を受けたのだという。

「世界で三本の指に入る」というピカソのコレクションからは、《アーティチョークを持つ女》や《眠る女》などが展示される。また、マックス・エルンストやデ・クーニングなど、シュルレアリスムから抽象表現主義への流れの中にある作品も紹介。1900年代初頭から21世紀の現代に至るまで、多彩な側面を持つ現代美術が鳥瞰できる。(美術展ナビ取材班)
