【プレビュー】陶磁器に描かれる絵や文様の世界――「リニューアルオープンⅠ絵のある陶磁器~仁清・乾山・永樂と東洋陶磁~」展 三井記念美術館で4月29日開幕

「リニューアルオープンⅠ絵のある陶磁器~仁清・乾山・永樂と東洋陶磁~」 |
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会場:三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階) |
会期:2022年4月29日(金・祝)~6月26日(日) |
休館日:月曜日、ただし5月2日は開館 |
アクセス:東京メトロ銀座線「三越前」駅A7出口徒歩1分、半蔵門線「三越前」駅徒歩3分、銀座線・東西線「日本橋」駅B9出口徒歩4分 |
入館料:一般1000円、高校生・大学生500円、中学生以下無料 |
※最新情報は、公式HP(http://www.mitsui-museum.jp/)で確認を。問い合わせはハローダイヤル(050・5541・8600)へ |
2005年の開館以来、初めての全館改修工事を2021年9月から行っている三井記念美術館。2022年4月に工事を終了した後、2回に分けて行われるリニューアルオープンの第1弾がこの展覧会。今回のテーマは、「絵のある陶磁器」。描かれている絵や文様の世界に注目する。

江戸時代の京都では仁清や乾山の色絵陶器、染付や金襴手のような中国磁器を写した永樂家の陶磁器など、絵のある陶磁器が多く焼かれ、それが現代の京焼へとつながっている。茶の湯を通じて永樂家と長年にわたって親交があった「江戸店持ち京商人」の三井家。今回の展覧会では、館蔵品の中から、仁清・乾山をはじめ、写しの世界ともいえる永樂保全・和全の陶磁器、そのもとになった中国陶器を展示する。

日本の陶磁器の歴史の中で、器体に釉薬や絵の具で絵が描かれるのは、桃山時代に美濃で焼かれた志野や織部から。いずれも茶の湯で使われる陶器として焼かれ、志野では草花や垣根などの文様、織部では幾何学文様などが多く描かれた。その流れの中で京焼色絵陶器の完成者ともいわれるのが、野々村仁清。大名や公家の好みをくみ取った雅な茶陶を焼き、その後の京焼の方向性を示した。

さらに尾形光琳の弟である尾形乾山は、仁清に陶法を学び、京都の鳴滝に窯を築いた。ここで焼いたのが乾山焼だ。光琳が絵を描いた角皿や乾山が山水や詩歌を描いた茶碗や食器など、文人的な焼き物へとその世界は広がる。

その後、江戸時代後期には西村(永樂)了全・保全が出て、仁清写しや中国陶磁の写しを焼き、茶の湯界の需要に応えるが、その背景には、三井家との親密な交流があった。その関係は、幕末から明治期の永樂和全、昭和期の永楽即全にまで続いていく。保全や和全が写しの手本とした中国陶磁の中から、今回の展覧会では絵のあるモノを選んで展示。絵のある陶磁器の多彩な世界が、その器形や用途、歴史的背景なども含めて鑑賞できる。

(読売新聞美術展ナビ編集班)