【プレビュー】世界のドールハウスを紹介――「魅惑のミニチュア ドールハウスの世界展 世界のアンティーク~現代日本作家の超絶技巧」 そごう美術館で4月16日開幕

「魅惑のミニチュア ドールハウスの世界展 世界のアンティーク~現代日本作家の超絶技巧」
会場:そごう美術館(横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階)
会期:2022年4月16日(土)~5月15日(日)
アクセス:JR横浜駅東口から徒歩5分
入館料:一般1200円、大学生・高校生1000円、中学生以下無料。
※詳細情報は同館HP(https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/)で確認を

16世紀までさかのぼる歴史があり、世界中で愛されてきたドールハウス。それは美術工芸品であり、往事の暮らしを伝える貴重な文化遺産だ。この展覧会では、日本ドールハウス協会に所属する現代作家の代表作および新作、ノエカフェ・一色美世子コレクション、箱根ドールハウス美術館のアンティークコレクションなど約 80 件で、ドールハウスの魅惑の世界を紹介する。

《デニスの家》1880年、アメリカ、箱根ドールハウス美術館蔵

「ドールハウス」は、単なる「人形の家」でも「女の子のおもちゃ」でもない。日本語ではぴったり当てはまる言葉がなく、「小さい家」が近い訳になる。外装だけでなくインテリアも含め、精巧な再現性を誇るミニチュア文化のひとつがドールハウスなのだ。記録に残っている最も古いドールハウスは、16世紀、ドイツの侯爵が愛娘のために作ったものといわれている。マイスターと呼ばれた高い技術者がドールハウスを制作し、やがて裕福な貴族階級や商人たちのステイタスシンボルとなった。

《セダーズ・ウッドブリッジ》19世紀後半、イギリス、箱根ドールハウス美術館蔵

18世紀の産業革命により、安価な材料で量産が可能になると一般の人々にも広まり、趣味として玩具として人気となる。そうやって長い歴史を刻んできたドールハウスは、世界中で愛されてきた。日本でドールハウスが一般的に知られるようになったのは1970年代頃。歴史は浅いが、現代作家の技術は世界的にも大変評価が高く、豊富なバリエーションが特徴で、個性豊かなミニチュア作品が次々と誕生している。

《ダブリン・タウン・ハウス》1840年、アイルランド、箱根ドールハウス美術館蔵

展示は3章構成で、第1章は「イギリス ヴィクトリア朝時代のドールハウス 栄華と闇」と題し、 箱根ドールハウス美術館所蔵作品を紹介、第2章も同館の所蔵作品を展示した「世界のドールハウス」。1840年にアイルランドで作られたという《ダブリン・タウン・ハウス》は今から約100年前、6歳だった女の子がクリスマスの日に叔母さんから譲り受けたものだそうだ。

《テディベア・ミュージアム》倉林進(日本ドールハウス協会)

3章の「現代日本のドールハウス」では、倉林進の《テディベア・ミュージアム》、河合行雄の《海鮮居酒屋大漁丸》など、日本ドールハウス協会30作家の作品を紹介する。期間中は通常よりもミュージアムショップのスペースを拡大し、様々なドールハウスやミニチュア作品の販売を予定しているという。(美術展ナビ取材班)

《大衆居酒屋大漁丸》河合行雄(日本ドールハウス協会)