「守一の庭」での企画展――豊島区立熊谷守一美術館で「37周年展」 4月12日開幕

「37周年展」 |
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会場:豊島区立熊谷守一美術館(東京都豊島区千早2-27-6) |
会期:2022年4月12日(火)~7月3日(日) |
休館日:月曜日(祝日問わず) |
アクセス:東京メトロ有楽町線・副都心線要町駅出口1・2から徒歩9分、千川駅出口3から徒歩9分 |
入館料:一般700円、高校・大学生300円、小・中学生100円、小学生未満無料ほか。 |
※入館料などの詳細情報はホームページ(http://kumagai-morikazu.jp/)で確認を。 |

1880年に岐阜県付知村(現在の中津川市付知町)で生まれた熊谷守一は、1932年から亡くなる1977年まで、東京都豊島区千早に建てた家で暮らした。その旧居に守一の二女・榧が1985年創設したのが、熊谷守一美術館である。2007年に豊島区立となった同館は、5月28日の創立記念日を挟んで毎年、特別企画展を行っており、この展覧会もその一環として行われる。

抽象度の高い独特な具象画のスタイル。明確な輪郭線と平滑な色面は、「熊谷様式」といわれる。76歳の時に軽度の脳卒中を起こした後は遠出を控えた守一は、自宅の庭に咲く花や、そこにいるネコやメダカなどの小動物や魚、あるいはアリやカマキリなどの昆虫を題材に、はがき4枚ほどの板に絵を描いていたという。「絵をとおして、守一のものの見方や生き方を、今を生きる人たちにも感じてもらいたい」。守一の二女でもある熊谷榧館長は、ホームページに掲げられた「守一のこと」という一文の中で、こう述べている。

今回の企画展で展示されるのは、その「守一の庭」をモチーフにした作品だ。守一の故郷にある熊谷守一つけち記念館から《蝶》《しゃくなげ》《鯉魚群遊図》など、20点の作品を借り、館の所蔵品・委託品とともに展示する。美術館創立の際には残すことができなかったという「守一の庭」。作品を通じて、その姿を見ることができそうだ。

(読売新聞美術展ナビ編集班)