【レビュー】鮮烈に響く「視覚的な水の音」 キムキョンミン展 平塚市美術館

展覧会名:キムキョンミン展
会期:2022年1月4日(火)~4月3日(日)
会場:平塚市美術館(神奈川県平塚市西八幡、JR平塚駅からバス)
開館時間:9時30分~17時(入場は16時30分まで)
休館日:月曜日(※3月21日は開館、翌火曜日休館)
観覧料金:無料
平塚市美術館の名物、高さ11メートルで外光の降り注ぐテーマホールを使った「ロビー展」。2006年12月に始まり、15回目の今回は金属彫刻家のキムキョンミンさん(1971~)の14作品を展示しています。

キムさんは韓国・釜山生まれ。東亜大学、同大学院を経て多摩美術大学博士前期課程で彫刻を学び、在学中から国内外で精力的な展示を重ねてきました。二科展の受賞やKAJIMA彫刻コンクール銅賞、大分アジア彫刻展などの入選を経て、2017年にはUBEビエンナーレで大賞を受賞するなど高い評価を受けています。



素材は硬質なステンレスの板から形をつくり、丁寧に研磨することによって周囲の景色や見るものを映しだします。金属なのに常に流れているかのような造形が置かれた場所の環境とよくなじみ、強く印象に残ります。


会場に掲示された作家のことばで、キムさんは「私の作品の主題は、空間と時間が密接な関係を持つ水の動きから聞こえてくる視覚的な水の音、そして繋がり(接続性)を表現することである。『視覚的な水の音』は、それぞれの心の中で感じられる感情的な波動で、観客自らが目で見て考える想像の音律である」と述べています。

渓谷のせせらぎ、V字谷にとどろく激流、鍾乳洞のしたたり・・様々な水音が自分の内側から聴こえてくるようです。
平塚市美術館のホームページ(https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/)。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)