【プレビュー】伝説の「ラドン」大型ミニチュアセットの再現も 「生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展」東京都現代美術館で3月19日開幕

ゴジラ対クモンガ イメージボード、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」(1967)より © TOHO CO., LTD.

デザイナー、特撮美術監督として長く日本の映像文化を支えた井上泰幸(1922-2012)の功績を振り返り、日本の特撮映像史を概観します。

<開催概要>

展覧会名:生誕100年 特撮美術監督 井上泰幸展

会期:2022年3月19日(土)~6月19日(日)

開場:東京都現代美術館 企画展示室  地下2階(東京都江東区三好)

開館時間:10時~18時(展示室入場は閉館30分前まで)

休館日:月曜日(3月21日は開館)、3月22日(火)

観覧料:一般1,700円 大学・専門学校生・65歳以上1,200円

中高生600円 小学生以下無料

展覧会ホームページ https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/yasuyuki-inoue/

2022年に生誕100年を迎える井上泰幸(1922-2012)は、特撮のパイオニアである円谷英二(1901-1970)のもと、「ゴジラ」(1954)から特撮美術スタッフの一員としてそのキャリアを本格的にスタート。特撮映画に限らず日本映画・TV で重要な作品を数多く手がけました。

井上泰幸 アルファ企画にて、1994年 撮影:斎藤純二

特撮美術・デザインに加え、怪獣「ヘドラ」のデザインなど幅広い領域の仕事を手がけました。図面や絵コンテを描き、予算計画を俯瞰できるオリジナルの『セット設計』を駆使。「水落とし装置」や東宝撮影所の大プール設計など、多様な手法を遺しました。本展では、市街地から宇宙まで様々なシーンを現実化し「実装」した井上の仕事を、台本や制作の進行表、現場写真、スケッチや図面、ミニチュア、プロップなど数百点を通して紹介し、その表現の独創性を探ります。

怪獣・建造物設定対比図、「モスラ対ゴジラ」(1964)より © TOHO CO., LTD.
ヘドラ デザイン画、「ゴジラ対ヘドラ」(1971)より © TOHO CO., LTD.
万能潜水艦アルファ号 デザイン画、「緯度0大作戦」(1969)より © TOHO CO., LTD.
緯度0基地 設定俯瞰図、「緯度0大作戦」(1969)より © TOHO CO., LTD.

あの「ラドン」の福岡のミニチュアセットも

本展は、井上の仕事に大きな影響を受けて特撮文化にかかわるクリエーターたちの協力を得て作られています。特撮研究所、アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC、理事長:庵野秀明)の企画協力、樋口真嗣によるメインビジュアル(近日公開)に加え、井上の愛弟子であった特撮研究所の三池敏夫が「空の大怪獣ラドン」(1956)で知られる西鉄福岡駅周辺のミニチュアセットをアトリウム空間に再現します。

福岡・岩田屋周辺ミニチュアセットのメイキング写真、「空の大怪獣ラドン」(1956)より
© TOHO CO., LTD.
福岡・岩田屋周辺ロケハンスケッチ、「空の大怪獣ラドン」(1956)より © TOHO CO., LTD.

背景画は島倉二千六、ミニチュア制作は老舗マーブリングファインアーツが担当し、井上の綿密な仕事が令和の技術で蘇ります。特撮映画に参加するような記念撮影を楽しみつつ、当時の特撮現場を体感し、優れた存在感を持つ昭和の「特撮の技」を味わえます。

本展は、ご遺族をはじめ特撮研究所、アニメ特撮アーカイブ機構の企画協力を得て、井上とゆかりある関連機関と連携して開催されます。庵野秀明(「シン・ゴジラ」)や樋口真嗣(「シン・ウルトラマン」)ら、現在最前線で活躍するクリエーターに多大な影響を与えた井上作品の魅力を探ります。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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