【プレビュー】浮世絵を作った「赤」――「赤-色が語る浮世絵の歴史」展 太田記念美術館で3月4日開幕

赤-色が語る浮世絵の歴史 |
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会場:太田記念美術館 |
会期:2022年3月4日(金)~3月27日(日) |
休館日:月曜日(※3/21は開館、3/22は休館) |
アクセス:東京都渋谷区神宮前、JR山手線原宿駅から徒歩5分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅から徒歩3分 |
入館料:一般800円、高校生・大学生600円、中学生以下無料 |
※最新情報は、公式HP(http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/)で確認を |
豊かな色彩にあふれている浮世絵。中でも重要なのは、「赤」という色だ。作品を華やかにしたり、画面全体を引き締めたり。200年以上にわたる浮世絵の歴史の中で、「赤」が印象的な作品60点を展示する。

「紅絵」「紅摺絵」「赤絵」「紅嫌い」……。「赤」という言葉は、浮世絵の制作用語に数多く使われている。「赤」の絵の具の使われ方の変遷が、浮世絵の発展の歴史を物語っている。「赤」に注目することで、明らかとなってくる浮世絵のワザとはどんなものなのだろうか。

同じ「赤」でも、時代によって、材質や色合いは移り変わる。鈴木春信や東洲斎写楽の時代では淡い色合いだったものが、歌川広重や歌川国貞の時代になると濃さを増していき、月岡芳年の活躍した明治期になるとどぎついまでの鮮やかさになる。人気絵師たちがどのように「赤」を使ったのか。その移り変わりを眺めていく。


絵の具の移り変わりは、浮世絵の味わいに大きな影響を与えている。もともと「赤」の原料だった紅花は貴重だったため、濃く鮮やかな「赤」を広い面積で使うことは難しかったのだが、幕末になると「赤」の原料の供給量や品質が改良されたのか、鮮やかな赤が増えてくる。好例が歌川広重の「江戸名所百景 浅草金龍山」。雷門の提灯などの「赤」を随所に配置することで、雪景色の美しさを際立たせているのだ。

(読売新聞美術展ナビ編集班)