岩波ホールが7月29日に閉館 良質の映画を紹介、54年の歴史閉じる コロナ禍による経営環境の悪化で

内外の名作映画を紹介してきた岩波ホール(東京・神保町)が7月29日をもって閉館し、54年の歴史を閉じることになった。1月11日、同館が発表した。閉館の理由については「昨今の新型コロナの影響による急激な経営環境の変化をうけ、これ以上の運営の継続は困難であると判断し、このような決定となりました」と説明している。

過去の上映作品のチラシ

同ホールは1968年に多目的ホールとして開館し、様々な文化的催しを行い、1974年からは名作映画を上映する「エキプ・ド・シネマ」運動の拠点として、インド映画「大樹のうた」を上映。以来、65か国、271作品を紹介してきた。商業ベースに乗りにくい、良質な作品を数多く上映し、その活動は高い評価を得ていた。

ホールの正面
客席数は192。ミニシアターの先駆け的存在だった

現在は「ユダヤ人の私」を上映中。今後は本年度の上映予定だった「安魂」「ジョージア映画祭 2022」「金の糸」「メイド・イン・バングラデシュ」を順次公開し、6月4日から公開する「NOMAD(原題)」が最終上映作品となる。詳しくは同ホールのホームページ(https://www.iwanami-hall.com/)へ。

岩波ホール閉館のニュースは、映画ファンのみならず、文化を愛する多くの人たちに驚きをもって受け止められました。

岩波ホール(東京・神保町)が7月29日に閉館し、54年の歴史を閉じます。コロナ禍による急激な経営環境の悪化が理由だそうです。コロナ禍で多くの文化施設が影響を受けましたが、内外の良質な作品を紹介してきた同館だけに、この知らせは実に残念です。

岩波ホールといえば、この壁にずらりと貼られたチラシですよね。開館以来、上映された映画を振り返ることのできるステキなスポット。見ていて飽きないんです。

北米や西欧の作品に偏りがちな映画興行。こちらではアジアやアフリカ、東欧など見る機会の少ない地域の佳作や、内外の良心的な作品を届けてくれました。よく分からない作品でも「岩波ホールで掛かっている」が何よりのクオリティーの保証。安心して足を運べました。

この「年輪」を思わせる掲示も「2022年」でピリオド。やはり残念としかいいようがありません。

現在、上映中の「ユダヤ人の私」は、あのゲッベルスの秘書の語りがあまりに衝撃的だった「ゲッベルスと私」に続くホロコースト証言シリーズ。こちらも機会があればぜひ。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

 

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