【なんてキュートな】懐かしくも新しい食器たち 「昭和レトロモダン -洋食器とデザイン画-」展 愛知県陶磁美術館で1月8日開幕

近年、懐かしくも新しいものとして再び脚光を浴びている「昭和レトロモダン」。本展では戦後の洋食器をめぐる歴史とその魅力に迫ります。
展覧会名:昭和レトロモダン -洋食器とデザイン画ー
会期:2022年1月8日(土)~3月21日(月・祝)
休館日:毎週月曜日(ただし1月10日は開館、1月11日は休館)
会場:愛知県陶磁美術館(愛知県瀬戸市、リニモ「陶磁資料館南」駅下車、徒歩600㍍)
開館時間:午前9時30分から午後4時30分(入館は午後4時まで)
観覧料:一般600円、高大生500円、中学生以下無料
愛知県陶磁美術館公式サイト(https://www.pref.aichi.jp/touji/)
昭和のモダンな洋食器の世界を紹介するユニークな展覧会です。明治以降、長らく日本陶器(現・ノリタケカンパニーリミテッド)や名古屋製陶所が先駆けてきた洋食器生産は、昭和初期になると中小規模の製陶所も相次いで本格的な事業参入を始めました。
太平洋戦争後には、“デザインの三郷”とも呼ばれた愛知の三郷(さんごう)陶器や鳴海製陶、ヤマカ製陶所をはじめとする各社が独自の技術やデザインを確立し、先駆者に迫る勢いで様々な洋食器を世に送り出しました。その瑞々しいデザインからは当時の時代の雰囲気と、各社の創意工夫が見えてきます。
愛知を代表する洋食器メーカー、“三郷陶器”を本格的に紹介

輸出用に生産。「カジュアル・コレクション」として制作されており、格調高いディナー食器とは異なる購買層への波及を狙ったと思われます。形状は縁(リム)を設けない丸形のクーシェイプと呼ばれるもので、パステルカラーで描かれた愛らしい雄鶏のデザインと相まって親しみやすい印象に仕上がっています。

デザイン、一層複雑に


“デザインの三郷”を体現するONE WORLD(ワン・ワールド)シリーズ。デザインは日本やギリシャ、ノルウェーなど各国を代表する伝統的な意匠をもとに考案されました。繊細な発色の絵付けや、波型にカットした口縁部の形状などに、デザイナーはじめ製造工程に携わった多くの人々の創意工夫が伺えます。

QUDARILLE(クアッドリール)は4組の男女によるペアダンスを意味する英語。三郷陶器は70年代に入ると形状とともに、デザインにおいてもより自由度の高いものを手掛けるようになりました。本品はブルー系統の彩色が主体の絵付けに、黄色や赤色を入れ、華やかな印象を見る人に与えます。




デザイン画も合わせて紹介され、その制作過程を垣間見ることができます。

東海地区の他の製品も魅力的
鳴海製陶(名古屋市緑区)、岐阜県のヤマカ製陶所(のち大和陶器)の作品も、今見ても新鮮です。



鳴海製陶株式会社 同社所蔵

ヤマカ製陶所(MADE IN OCCUPIED JAPAN) 個人蔵

時代を感じさせない、自由で多彩なデザインの数々。当時の生産現場の息吹が伝わってきます。振り返る価値のある作品群です。
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同美術館では、ワークショップ「レトロでかわいい転写シールでボンボニエールを作ろう!」も開催されます。ボンボニエール(蓋付き菓子器)の素地づくりと、転写シール貼りを体験する2回です。申し込みは2日間参加できる方に限ります。
①「素地づくり」2022年1月15日(土)午後1時30分~3時30分まで
②「転写シール貼り」2022年2月5日(土)午後1時30分~3時30分まで
参加料や申し込み方法など詳細は愛知県陶磁美術館公式サイト(https://www.pref.aichi.jp/touji/)へ。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)