【開幕】実はテキスタイルの本場!山梨県富士吉田市でアートイベント「FUJI TEXTILE WEEK 織りと気配」

アートイベント「FUJI TEXTILE WEEK 織りと気配」が12月10日から来年1月9日まで山梨県の富士吉田市の市街地で開催されています。開幕前日のプレスツアーに参加しました。 地場産業のテキスタイルと芸術が刺激しあったアート作品がたくさんありました。

街の喫茶店にさり気なくKAWSの人形が飾られているなど、レトロとオシャレがまだら模様の富士吉田市の中心街

奥中章人《inter world/sphere》

空き地に謎の球体。中に入ると不思議な光と音の空間が広がっています。<寝転び>推奨の奥中章人さんの作品《inter world/sphere》です。奥中さんによると、時間や天気によって見え方がかなり異なるそうです。この日は快晴でしたが、雨のときは、雨の音が反響して、おもしろい体験ができるそうです。

靴を脱いで中に入ることができます
「宇宙酔いみたいになる人もいるので寝転んで見上げるのもおすすめ」と話す奥中さん

大巻伸嗣《トキノカゲ》

 

富士吉田の富士山、川の流れといった自然と、商店街や繊維業などの人の営みを反映させたという大巻さん

西尾美也《裏地/裏富士》

その支店の屋上にある西尾美也さんの《裏地/裏富士》は、モグラたたきのモグラになって、穴から顔を出して富士山を眺めることができるインスタレーション、楽しい!裏地を使っているのは、富士吉田市が江戸時代から特に裏地の生産地だからだそうです。

郡裕美《TSUMUGU》

3階建ての古い蔵の暗闇の中で、徐福伝説以来の絹織物の歴史と文化を、かすかな光と音で表現した郡裕美さんのインスタレーション《TSUMUGU》も印象的です。

機織りの音、蚕が桑を食べる音などが暗闇に流れている

高畠依子《CAVE》

同じ蔵の家にある、高畠依子さんの《CAVE》は、人の営みを超越する長い時間で生まれた富士山の溶岩鍾乳洞からインスピレーションをもらったそうです。

築70年を超える蔵に溶け込みながらも存在感を示している

手塚愛子 渡邉年江

《Loosening Fabric》で既製の布をほどくことで時間を表現する手塚愛子さんは、数年前に閉店した旧すみれ洋装店をギャラリーに改装。今回のアート展で、このすみれ洋装店の99歳の渡邉年江さんがミシンを再び店頭で踏む、時間を超えたコラボが実現しました。

FUJIHIMUROでは4組のアート

製氷所を改装したFUJIHIMUROでは、トンネルをくぐり、廃棄される衣服でできたmaison2,3の《EYE》など4組の個性豊かで、テキスタイルの未来へのメッセージに富んだアートを楽しめました。

2人組のmaison2,3 巨大な作品《EYE》は触っても、少し転がしてもOK
今井俊介さん

児玉麻緒さん
高須賀活良さんの作品

なぜ富士吉田でテキスタイル?

富士山の麓、富士吉田市のある郡内地域は、江戸で流通するオシャレな裏地のほとんどを作っていたそうです。古くは徐福伝説、歴史的には10世紀から織物生産の歴史があります。
江戸時代には、絹織物で同じく有名な八王子などと競合するものの、遠方であることを逆手に、軽くて細い絹糸を使った製品を生産。細い糸を編むのには高い技術力が必要のため、デザイン性の高い着物の裏地などに特化していったそうです。
大正・昭和の最盛期には6000軒もの織り屋や工場があり、今も約200軒あり、高い技術力から世界の有名なハイファッションブランドからご指名がかかる日本テキスタイルの本場。近年主流のプリントテキスタイルではなく糸から染める織物の技術は世界有数。
一方で、テキスタイルのブランドや生産地として、富士吉田は一般の消費者などにはあまり知られていません。そこで、今回のアートイベントが企画されました。

昭和時代の生地見本

「FUJI TEXTILE WEEK 織りと気配」は12月10日から来年1月9日まで富士吉田市中心市街地で。観覧料は無料。
期間中の開催日は12月10日~12日、16日~19日、23日~26日、1月6日~9日。12月10日~12日は自由に各会場を見て歩くことができます。12月16日以降は、1日2回(10時、13時)のガイド形式で行われ、こちらは無料ですがWEBで事前エントリーが必要です。詳しくは
公式サイトで確認してください。

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)

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