【プレビュー】あらゆる対象をふくよかに表現――コロンビア生まれのフェルナンド・ボテロ、日本では26年ぶりの大規模絵画展 「ボテロ展 ふくよかな魔法」 Bunkamuraで来年4月開幕

フェルナンド・ボテロ

「ボテロ展 ふくよかな魔法」
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:2022年4月29日(金・祝)~7月3日(日)
アクセス:東京都渋谷区道玄坂、JR渋谷駅から徒歩7分、東京メトロ銀座線、京王井の頭線渋谷駅から徒歩7分、東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線渋谷駅から徒歩5分
※入館料などの詳細情報は公式サイト(www.ntv.co.jp/botero2022/)、公式ツイッター(@botero2022)で確認を。

南米コロンビア出身の美術家、フェルナンド・ボテロ(1932~)は現代を代表する美術家のひとり。人物も動物も、楽器や日用品さえもが膨らんでいるその作品の世界は、官能、ユーモア、アイロニーなどのニュアンスが複雑に絡み合い、鑑賞者の感覚に訴えかけてくる。日本国内では26年ぶりの大規模絵画展となる今回の展覧会は、ボテロ生誕90年でもあり、ボテロ自身の監修のもと、初期から近年までの油彩ならびに水彩・素描作品など70点が紹介される予定だ。

フェルナンド・ボテロ《モナ・リザの横顔》 2020年 油彩/カンヴァス

ボテロが世界的に注目されるきっかけになったのは1963年、ニューヨーク近代美術館(MOMA)のエントランスホールに《12歳のモナ・リザ》が展示されたこと。その作品が評判となり、一夜にしてボテロの名前はニューヨーク中に知れ渡ったという。「モナ・リザ」は、ボテロが描き続けているテーマのひとつで、本展では2020年制作の《モナ・リザの横顔》が世界初公開される。

フェルナンド・ボテロ《泣く女》 1949年 水彩/紙

世界中で愛されるボテロのふくよかな作品。ボテロのボリュームへの関心は、17歳の頃に描いた《泣く女》にすでに見いだせる。その後、ヨーロッパ、特にイタリアで学んだ経験が彼のボリューム感、官能性、デフォルメ表現に対する基盤を確固たるものにした。「ボリュームを通して、生命の高揚感が生み出されるが、デフォルメにより芸術には不均衡が生じる。それは再構築されなければならないが、一貫した様式によってのみ、デフォルメは自然となる」とボテロはいう。

フェルナンド・ボテロ《楽器》 1998年 油彩/カンヴァス

1956年、23歳のボテロはメキシコ芸術に出会うが、このことがひとつのターニングポイントとなった。自らのルーツや故郷コロンビアでの子ども時代にまなざしを向け、自作の中心的なテーマとするようになったのだ。同時にメキシコ芸術の大胆な色遣いにも触発され、ボテロの描く世界は色鮮やかなものになった。

フェルナンド・ボテロ《バルコニーから落ちる女》 1994年 パステル/紙

 

フェルナンド・ボテロ《象》 2007年 油彩/カンヴァス

また、1952年に初めて欧州に渡航して依頼、ボテロはベラスケス、デラ・フランチェスカ、ヤン・ファン・エイク、ドミニク・アングルなど、美術史上に残る芸術家たちへオマージュを数多く捧げてきた。過去の巨匠たちの名作を基にした一連の作品では、ボテロ独自の様式により他の芸術家たちの作品を全く異なるものへと変容させている。「芸術とは、同じ事であっても、異なる方法で表す可能性である」という言葉をボテロは残している。

フェルナンド・ボテロ《アルノルフィーニ夫妻(ファン・エイクにならって)》 2006年 油彩/カンヴァス

(読売新聞美術展ナビ編集班)

直前の記事

【開幕レビュー】「あなたの隣の」異世界を――深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」 上野の森美術館

深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」 会場:上野の森美術館 会期:2021年12月2日(木)~2022年1月31日(月) 休館日:12月31日、1月1日 アクセス:東京都台東区上野公園、JR上野駅公園口から徒歩約3分、東京メト

続きを読む
新着情報一覧へ戻る