【プレビュー】松岡美術館が年明け1月再開 時を超え、洋の東西を越えた美の世界を―― 再開記念展「松岡コレクションの真髄」

再開記念展「松岡コレクションの真髄」 |
---|
会場:松岡美術館 |
会期:2022年1月26日(水)~4月17日(日) |
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日が休館) |
アクセス:東京都港区白金台、東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線白金台駅から徒歩約7分、JR目黒駅から徒歩約15分 |
入館料:一般1200円、25歳以下500円、高校生以下、障害者手帳をお持ちの方無料。 |
※展示作品の入れ替えあり。詳細情報はホームページ(https://www.matsuoka-museum.jp/)で確認を。 |
所蔵作品の修復調査、設備点検のため、2019年6月から長期休館していた松岡美術館。約2年8か月ぶりの再開を記念する本展は、美術館を代表する名品を「東洋陶磁」「日本画」「西洋彫刻」の3企画で展示する。「松岡コレクション」は、美術館の創設者であり初代館長の松岡清次郎氏が生涯を通して収集したもの。1894年、東京・築地で生まれた松岡氏は貿易商として成功をおさめ、私費を投じて集めたコレクションを広く美術愛好家にも楽しんで欲しいと考えて、1975年に美術館を開館した。

美術館開館を松岡氏が決意したのが、明代に作られた《青花龍唐草文天球瓶》、元代の《青花双鳳草虫図八角瓶》の入手。最初の企画「東洋陶磁名品選 松岡清次郎の志をたどる」で、その2品が同時に展示され、入手時のエピソードも紹介される。コレクションの約3割を占める陶磁器作品の中から、松岡氏のお気に入りであった古九谷などの日本陶磁をはじめ、唐代から清代までの中国陶磁など、40件余りが出展される。


2番目の企画は「館蔵 日本画 花鳥風月」。横山大観の《梅花》をはじめとして、室町時代の水墨画から、江戸時代の酒井抱一、近現代の渡辺省亭、川合玉堂、鏑木清方、山口蓬春にいたるまで、花鳥風月に美を見いだした日本画を展示する。この企画だけ前・後期の展示替えがあるが、後期(3月8日以降)に展示予定の重要文化財 伝 周文《竹林閑居図》は、2年にわたる修復を経た後の初公開。足利家のお抱え絵師とも言われる周文は禅僧で、室町時代の代表的な絵師のひとりだ。


3番目の企画は「古代ギリシア・ローマ大理石彫刻展」。ローマ時代の《アルテミス》が新たに常設展示に加わったことに併せて、古代ギリシア・ローマの大理石彫刻8点を展示する。松岡美術館は開館以来、1800件余りの所蔵品のみで展示を行っている。それは「私立美術館は美術品を蒐集した館の創立者の美に対する審美眼を、その一つひとつの美術品を通して、ご覧いただく方に訴えるべきところ」という松岡氏の意思によるものだという。

(読売新聞美術展ナビ編集班)