【プレビュー】「長い間、日本を夢見ていた」――ミロの見方が変わる! ミロと日本の深いつながりを見せてくれる世界初の大規模展 「ミロ展-日本を夢みて」 Bunkamuraで来年2月11日開幕

「ミロ展-日本を夢みて」
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:2022年2月11日(金・祝)~4月17日(日)
休館日:2月15日、3月22日
アクセス:東京都渋谷区道玄坂、JR渋谷駅から徒歩7分、東京メトロ銀座線、京王井の頭線渋谷駅から徒歩7分、東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線渋谷駅から徒歩5分
入館料:一般1800円、高校・大学生1000円、小・中学生700円ほか。
※入館料などの詳細情報はホームページ(https://www.bunkamura.co.jp/museum/)で確認を。問い合わせは、ハローダイヤル(050・5541・8600)へ。

スペイン・バルセロナで生まれたジュアン・ミロ(1893-1983)は、ピカソと並ぶ現代スペインの巨匠である。1930年代に作品が紹介され、1940年には世界で初めてミロのモノグラフ(単行書)が出版されるなど、日本では早くからその活動が注目されてきた。現在でも多くの美術館が作品を収蔵する人気作家のひとりである。一方で、ミロの創作活動の背景に日本文化への深い造詣があったことは、意外と知られていない。「相思相愛」の関係にあったミロと日本。そのアトリエにあった日本の民芸品や批評家・瀧口修造との交流を示す資料、さらには日本への憧憬を表したミロの初期作品、日本に初めて紹介されたミロの作品など、約130点の作品と資料で、「日本とミロ」の深いつながりを浮き彫りにしていくのが、この展覧会だ。

ジュアン・ミロ 《アンリク・クリストフル・リカルの肖像》 1917年 油彩・コラージュ、キャンバス ニューヨーク近代美術館
 © The Museum of Modern Art, New York. Florene May Schoenborn Bequest, 1996 / Licensed by Art Resource, NY
 © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

展覧会のポイントは4点。まず、フィーチャーされるのは、日本美術に関心を示していた若き日々だ。1888年にバルセロナで開かれた万国博覧会。そこから始まった「ジャポニズム」のブームの中で生まれたミロの家の近くには日本美術の輸入販売店があり、日本美術の展覧会もたびたび開かれていたという。浮世絵に親しみ、葛飾北斎を敬愛していたミロ。作品中に浮世絵をコラージュした《アンリク・クリストフル・リカルの肖像》は、ミロと日本のつながりを示す出発点とも言えるだろう。

ジュアン・ミロ 《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》 1945年 油彩、キャンバス 福岡市美術館  © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

続いて紹介されるのが、パリに行き独自の表現を模索し始めた1920年以降。一般的な画材ではない素材を効果的に使うなどの「素材との対話」を深めていったミロは、「絵画と文字の融合」をも追求し、日本の書に関心を持つようになる。戦争により1940年にマジョルカ島に移った後は、日本の墨と和紙を用いて描線の太さや濃淡の実験を繰り返し行うようになった。そういう試みの中で生まれた作品の1つとして紹介されるのが、《ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子》だ。

ジュゼップ・リュレンス・イ・アルティガス、ジュアン・ミロ 《花瓶》 1946年 炻器 個人蔵  © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

さらに第二次世界大戦後。「素材との対話」「絵画と文字の融合」の追求は、ミロの制作活動に新たな展開を与えた。陶器制作に熱中し、書道を思わせる黒く大胆な線描を見せるようになり、日本の民芸品に深い愛着を見せるようになる。1966年、初来日したミロは「長い間、日本を夢見ていた」と語り、1940年にモノグラフを発表した瀧口修造と対面したほか、岡本太郎、勅使河原蒼風ら、様々な人々と交流した。

ジュアン・ミロ 《絵画》 1966年 油彩・アクリル・木炭、キャンバス ピラール&ジュアン・ミロ財団、マジョルカ
 Fundació Pilar i Joan Miró a Mallorca Photographic Archive © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

来日以降のミロの作品は、油彩・水彩を問わず、黒く太い線がそれまで以上に多用されるようになる。「日本の書家たちの仕事に夢中になったし、確実に私の制作方法に影響を与えている」と語ったミロ。日本とミロとの関係は、2度の来日により、さらに深まっていった。ミロのアトリエにあった日本の民芸品の数々も今回「里帰り」。そこからもミロがどれだけ日本に親しんでいたかが漂ってくる。

ジュアン・ミロ 《マキモノ》 1956年 捺染、絹 町田市立国際版画美術館 © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

(読売新聞美術展ナビ編集班)

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