【プレビュー】ホグワーツ魔法魔術学校の源流探る 「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展 東京ステーションギャラリーで12月18日開幕

大英図書館の展示風景ⒸEasy Tiger Creative

 

「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展
会場:東京ステーションギャラリー(JR東京駅 丸の内北口改札前)
会期:2021年12月18日(土)~2022年3月27日(日)
休館日:月曜日、2021年12月29日(水)~2022年1月1日(土・祝)、1月11日(火)※ただし、2022年1月10日(月・祝)、3月21日(月・祝)は開館
開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
観覧料(日時指定予約制):一般2,500円、高校・大学生1,500円、小・中学生500円など
詳しくは公式サイト(https://historyofmagic.jp/)を参照

1990年6月、マンチェスターからロンドンへと向かう列車の中で、無名の作家J.K.ローリングに舞い降りたひとつのアイディア。それは、現代のファンタジー「ハリー・ポッター」シリーズとして結実し、20年以上にわたって世界中で愛されることになった。その源流には何があるのだろうか。
この展覧会ではハリーが学んだホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、イギリスをはじめ世界各国に伝わる魔法や呪文、占いなどの記録を10章に分けて紹介する。大英図書館が2017年に開催した“Harry Potter: A History of Magic”の国際巡回展で、日本での開催はロンドン、ニューヨークに次ぐもの。大英図書館による大規模展覧会が日本に巡回するのは初めてだという。兵庫県立美術館での開催に続き、東京にもハリポタのマジックが現れる。

ジム・ケイ《『ハリー・ポッターと賢者の石』の9と3/4番線の習作》 ブルームズベリー社蔵 ⒸBloomsbury Publishing Plc 2015

「魔法薬学」「錬金術」。魔術にとって薬づくりは欠かせない技術で、ボグワーツ魔法魔術学校でも必修科目だった。卑金属を貴金属に変える「錬金術」も同様。「ハリー・ポッター」シリーズ第1作に登場する「賢者の石」は永遠の命を与える「命の水」を生成することができると信じられ、中世ヨーロッパの錬金術師たちはその獲得に奮闘した。その作り方が記されたのが、4メートルもある巻物『リプリー・スクロール』だ。

ジェームズ・スタンディッシュ『リプリー・スクロール』(部分) 16世紀 大英図書館蔵 ©British Library Board

「薬草学」と「呪文学」。薬効を持つ植物は古くから世界中の書物に記録されてきた。「アロホモーラ(開け)」、ウィンガーディアム・レヴィオーサ(浮遊せよ)」などの魔法の力を持つ言葉も、「ハリー・ポッター」のシリーズには欠かせない。呪文に関する文献も、豊富に本展では紹介される。

「薬草書」15世紀 大英図書館蔵 ©British Library Board
クイントゥス・セレヌス・サンモニクス『医学の書』13世紀 大英図書館蔵 ©British Library Board

「天文学」も魔法魔術学校の必修科目。大英図書館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチの「天体にまつわるメモとスケッチ」は世界に現存する約30冊のうちの1冊だ。「占い学」も世界中で重視された。手相占いやタロットなど、様々な占いが紹介される。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「天体にまつわるメモとスケッチ」 1506-1508年頃 大英図書館蔵 ©British Library Board
『古代エジプト占い師最後の遺産』 1775年 大英図書館蔵 ©British Library Board

「闇の魔術に対する防衛術」、「魔法生物飼育学」など、興味深いテーマがまだまだ続く。今もなお、世界中のファンを惹きつけている「ハリー・ポッター」の世界。大人になったハリーを描いた舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』の衣装なども展示され、今なお広がっているその魅力が多角的に紹介される。神戸に続き、12月からはいよいよ東京で開催される。

『エチオピアの魔術書』 1750年 大英図書館蔵 ©British Library Board

(読売新聞美術展ナビ編集班)

展覧会の公式サイト(https://historyofmagic.jp/

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