【装い新たに】「谷崎潤一郎をめぐる人々と着物 事実も小説も奇なり」展 後期展示で“衣替え” 弥生美術館

「痴人の愛」のナオミをイメージした装い(弥生美術館で、右着物は会期途中に展示方法を変える可能性があります)

文豪の作品を着物から読み解くユニークな展覧会、「谷崎潤一郎をめぐる人々と着物 事実も小説も奇なり」展(弥生美術館)は後期日程に入り、一部の着物の展示が変わりました。新しいものを紹介します。いずれも見事なアンティーク着物です。

谷崎潤一郎をめぐる人々と着物 ~事実も小説も奇なり~
会期:2021年10月2日(土)〜2022年1月23日(日)
会場:弥生美術館(東京都文京区弥生2-4-3)
休館日:月曜日、火曜日、12月27日~1月3日※11月23日、1月10日は開館
観覧料金 一般1000円(事前予約制)=竹久夢二美術館も観覧できます。
詳細は館のHP

4姉妹でお花見に

代表作「細雪」の4姉妹をイメージした着物は、前期の秋から後期は春へ。

姉妹の豪華なお花見を連想させます

谷崎作品の登場人物の装いを、田中翼氏のコレクションによるアンティーク着物で再現する試み。作品の時代に合わせて選んでいます。お見合いを繰り返す三女の雪子は華やかな訪問着をチョイス。

枝垂れ桜が肩から下がり、その下で御所人形が遊ぶという雅な柄。桜の帯に琵琶に桜の帯留めを合わせています。

アヴァンギャルドなナオミ

谷崎作品の中でも抜群の知名度を誇る「痴人の愛」のナオミ。奔放な性格に合わせて、今回も飛び切り目を引くデザインです。

キュビズム、あるいはロシア・アヴァンギャルドの影響をうかがわせる抽象的な柄の着物です。帯はカードがモチーフ。帯の中には当時、銀座にあったカフェ、プランタンの文字もあります。この装いで銀座を歩いたら相当な注目を集めたでしょう。当時、大きな反響を呼び、モダンガール(モガ)の先駆けとなったナオミに相応しいといえましょう。

モダン、かつ上品 「蓼食う虫」

「蓼食う虫」も谷崎の代表作。こちらの着物も魅力的です。主人公の妻で、華やかな当世風の女性として描かれる美佐子をイメージし、ファンタジーの世界を連想させる西洋更紗柄の訪問着。ウィリアム・モリスの影響も伺われるといいます。

粋筋の女性のすごみ

花街に暮らす女性たちを描いた「神童」。妖しく毒のあるデザインを選んでいます。

蛍が飛ぶ単衣に、野ざらしのどくろの帯。半衿にもどくろと墓地があしらわれ、帯留めには蛇、と強烈です。谷崎作品の世界観を見事に映しています。

最近、注目の大正時代のテイスト

弥生美術館と同じ建物内にある竹久夢二美術館では、このほかにも多彩な展示が楽しめます。弥生美術館の3階では「高畠華宵×『大正オトメ御伽話』」展。桐丘さな原作漫画のテレビアニメ化作品とのコラボレーション展で、作品の舞台となる大正時代を高畠華宵の作品と当時の資料で振り返る企画です。どうやら引き続き「大正」が熱いようです。

夢二ワールドをわかりやすく紹介

通路を通った先の竹久夢二美術館では、「30のキーワードでひもとく竹久夢二展」です。

「宵待草」「京都」「夢二式美人」「子供」など、夢二の作品や人物像を理解する上で役立つ30のキーワードから、その美の世界を紐解きます。夢二ファンにも、これから夢二を知ろうという方にもおすすめの展覧会です。

弥生美術館・竹久夢二美術館は、都心からほど近い文京区の閑静な住宅地に位置し、ゆっくりとした時間が流れていて、肩の凝らない雰囲気がステキです。ぜひ足を運んでみてください。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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