沖縄復帰50年記念特別展「琉球」 2022年、東京国立博物館と九州国立博物館で開催 過去最大規模で

沖縄復帰50年を記念し、琉球王国の歴史と文化の歩みを紐解く過去最大の展覧会「琉球」が、2022年に東京国立博物館と九州国立博物館で開催される。11月26日、両館など主催者が東京国立博物館で報道発表会を行い、概要を発表した。
<開催概要>
《東京会場》
会期:2022年5月3日(火・祝)~6月26日(日)
会場:東京国立博物館 平成館(東京・上野公園)
《九州会場》
会期:2022年7月16日(土)~9月4日(日)
会場:九州国立博物館(福岡県太宰府市)
詳しい情報は公式サイト(https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/)
同展では2会場全体で国宝72件、重要文化財22件を含む絵画、工芸、民族・歴史資料など約390件を展示する。これは沖縄・琉球展としては過去最大規模になる。琉球国王、尚家の国宝「尚家宝物」が一堂に会するのが目玉。金銀、水晶など色とりどりの玉に飾られた「玉冠」をはじめ、王族が身に着けた衣裳や刀剣、首里城を華やかに彩った漆器や陶磁器などが展示される。
鹿児島県歴史・美術センター黎明館所蔵の「黒漆首里那覇湊図堆錦螺鈿衝立」など初出品作品もあり、全国50か所近くの所蔵先から選りすぐりの逸品が寄せられる。

琉球王国は今の沖縄県から奄美諸島にかけて存在した国家。15世紀に政治的統合を遂げて成立し、日本や朝鮮半島、中国大陸、東南アジアと盛んに交流。中継貿易の拠点として大いに栄えた。「万国津梁」(万国の架け橋)をうたう銘文を刻んだ梵鐘は琉球の繁栄を象徴している。
展示では豊かな海で育まれた「貝の文化」による道具や装飾品、独特の祭祀、人々の暮らしに密着した祭りなど、先史時代から現代に至る琉球文化を幅広く紹介する。また、2年前に焼失した首里城復興の取り組みについても取り上げるなど、その文化の復興と継承の道のりをたどる。
報道発表会で東京国立博物館の富田淳副館長は「沖縄は明治以降の近代化や先の戦争という困難を乗り越え、琉球王国の独自の文化を未来につなげる努力を続けています。過去最大規模の展覧会で、琉球と沖縄ゆかりの文化財と復興のあゆみを紹介します」と話した。
また沖縄県立博物館・美術館の田名真之館長は「琉球処分や沖縄戦、米軍統治、施政権の返還と、沖縄は日本で最も特異な歴史を歩んできました。復帰50年の節目、東京国立博物館150年の記念すべき年に、沖縄をテーマとする展覧会を選んでくれたことに感謝します。日本じゅうの人に、沖縄の美術や工芸などの文化を知ってもらう機会になるよう期待しています」と話していた。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)