美術館だけじゃない!プラスアルファで楽しむ秋の京都のアートな歩き方

数年前まで当たり前だった秋のアート巡り。美術館に行くだけでなく、周辺の街並みを歩いたり、鑑賞後にカフェで美術展を思い返したり。アートの楽しみ方を思い出してみませんか?ライターの虹さんに秋の京都の楽しみ方について写真とともにコラムを寄せてもらいました。
現在京都では、先日開幕したばかりの「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」(京都国立近代美術館)をはじめ、魅力的な展覧会が多数開催されています。
紅葉と展覧会、そのふたつを楽しむために、今の季節に遠征を計画する方もいらっしゃるのではないでしょうか。でもせっかく行くのだから、プラスアルファもしたいですよね。
私も先日展覧会を見るために京都へ行ってみました。その際立ち寄って良かった場所などご紹介したいと思います。
市川屋珈琲
京都には素晴らしいカフェがたくさんあるのは皆様ご存知の通り。
最近の私のお気に入りは東山の「市川屋珈琲」です。老舗「イノダコーヒー」出身のマスターが淹れてくれるコーヒーはどれも格別の美味しさなのですが、もうひとつの楽しみがこの「季節のフルーツサンド」。
誇張一切なし‼ 冗談抜きで思考停止するほどの美味しさです。ぜひ一度ご賞味あれ。
河井寬次郎記念館
市川屋珈琲から徒歩2分ほどの場所にある「河井寬次郎記念館」。陶芸家・河井寬次郎が自身で設計した自宅兼アトリエだけあって、生活と制作の様子が窺えます。
民藝ファンにはおなじみの聖地ですが、「最近ちょっと渋めの皿が欲しくて……」というライト層にもおすすめです。というか、行ってください。全方位素晴らしくて立ち去れなくなります。
館内には、看板猫の「えきちゃん」も。
折りしも東京国立近代美術館では「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」が開催中。あわせて行けば、民藝への理解がさらに深まりますよ!
京都府庁旧本館
明治37年に建てられた「京都府庁旧本館」は、国の重要文化財にも指定されています。
近年修復を終え、当時の姿に限りなく近づいたそう。議場のシャンデリアは、なんと仏具屋さんが修復を手掛けたとか。その他、ガイドの方が詳しくこぼれ話を教えてくださいました。
現在、火・木・金曜日と、第1・第3・第5週の土曜日が一般公開となっています。修復された箇所以外も見どころが多く、訪れるの価値ありの建築です。
▶見学の際は予約が推奨されています。京都府庁旧本館案内所:電話 075-414-5432
旧三井家下鴨別邸
下鴨神社のすぐ近く、重要文化財にも指定されているこちらは、大正14年に建てられた旧三井家の別邸です。定期的にイベントも開催されており、普段は非公開となっている主屋二階や三階望楼の公開日もあります。
喫茶のメニューもあるので、歩き疲れたときにふらりと立ち寄り、のんびりお庭を眺めながらお茶やお菓子をいただくのも良いですね。12月には紅葉のライトアップが楽しめる日も設けられています。
思い切ってシーズンをズラす!
「SNSを検索すると行列の観光名所ばかり出てくる……」とお嘆きの方は、思い切って12月上旬にスケジュールをずらしてみるのも良いかもしれません。
確かに紅葉の盛りは終わっていますが、完全な冬景色になるのはもう少し先です。
12月に入ると紅葉の名所・東福寺も落ち着きを見せ始めますが、ここで推したいのが少し先にある「光明院」。
別名「虹の苔寺」とも呼ばれる東福寺の塔頭寺院であるこの寺は、作庭家・重森三玲による枯山水の庭を擁しています。
最近は訪れる人も増えましたが、まだ辛うじて穴場のうちに入るはず。過ぎ行く季節を静かに見送りたいという方にうってつけのお寺です。
そろそろ様子を見ながら、目的地周辺へも行動範囲を広げていきたいと考えている方も多いのではないでしょうか。引き続き感染対策をしながら、少しずつ充実した時間を増やしていけたら良いですよね。
この先も折々の四季と共に、アートを楽しんでいきましょう!
(文・写真とも、ライター・虹)
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