【開幕】「最後の浮世絵師」の貴重な作品を公開 「収蔵作品による小林清親展 【増補】-サプリメント-」(東京・練馬区立美術館)

明治時代に活躍した「最後の浮世絵師」、小林清親(18471915)の作品を集めた「収蔵作品による小林清親展 【増補】-サプリメント-」が23日、練馬区立美術館で始まった。

《九段坂五月夜》大判錦絵 明治13年(1880)

光と影のコントラストが印象的な「光線画」で人気を集めた清親。同美術館では2015年に展覧会「小林清親 文明開化の光と影をみつめて」を開催したが、この展覧会が機縁となり、約300点の作品、スケッチ、遺品などを寄贈された。その中には、「光線画」の源泉となったスケッチブック「小林清親写生帖」や西洋画の影響を強く受けた幻の作品「アラビアンナイト」などが含まれていた。

《アラビアンナイト》紙、水彩 制作年不詳

今回の展覧会は、前回のサプリメント(増補)として開催。そうした資料の中から、初公開、再発見の貴重な作品・資料を中心に展示されている。「写生帖」と実際に発表された作品が、実際に比較できる構成にも成っている。

版画だけでなく、戦争画、歴史画、水彩画など、清親の画業を幅広く紹介。清親の弟子、井上安治、土屋光逸の作品も展示されている。浮世絵だけでない、「清親ワールド」が鳥瞰できるファンには楽しい展覧会だ。会期は2022年1月30日まで。詳しい情報は、同美術館HP(https://www.neribun.or.jp/museum.html)で。

(読売新聞美術展ナビ編集班)