【開幕】「野田弘志新作展 神仙沼ー保木将夫氏に捧ぐー」ホキ美術館で

 

展覧会名:「野田弘志新作展 神仙沼ー保木将夫氏に捧ぐー」
会場:ホキ美術館(千葉市緑区あすみが丘東3-15)JR外房線土気駅南口3番バス乗り場「あすみが丘ブランニューモール行」で5分、「あすみが丘東4丁目」下車すぐ。または駅から徒歩25分
会期:2021年11月19日(金)~2022年5月22日(日)
休館日:火曜日(火曜日が祝日の場合は開館、翌日休館)、12月30日~1月1日
開館時間:午前10時~午後5時30分(入館は午後5時まで)。12月29日は午後4時閉館
入館料:大人1830円、大学・高校生・65歳以上1320円、中学生910円、小学生以下無料
詳しくは同館HP

世界でも珍しい写実絵画専門美術館として2010年に開館したホキ美術館に、11月19日から、野田弘志さんの縦284.2センチ、横696.8センチの大作「神仙沼ー保木将夫氏に捧ぐー」が一般公開されます。プレス内覧会に伺いました。

ホキ美術館の所蔵作品で最大となった「神仙沼」

野田弘志さん(85)は写実絵画の第一人者。1961年に東京芸大を卒業。広島市立大芸術学部教授を経て、2006年から北海道に拠点を移しました。

絵の前で解説する野田さん

神仙沼は北海道のニセコの湿原の中にある沼。6年ぐらい前に縦3メートル、横7メートルの作品にしてホキ美術館に納める約束を交わしました。しかし、2年で描き上げる予定が、結局6年近くかかってしまいました。この日も、内覧会直前まで筆を入れ、今後も年に2度ぐらい訪れて完成度を高めていく予定だと言います。「糸トンボを飛ばしたり、木を剪定(せんてい)するなど、陰影をつけるためいじっていきたいと思います」

野田弘志「保木将夫氏の肖像」

この大作の完成を望みながら、今年6月に逝去した同美術館創設者の保木将夫氏に捧げる作品となりました。

野田さんは「生と死」をテーマに描き続けています。この作品でも、美しい緑の木々のほか、枯れたシラカバや赤く枯れた松など、生きたものと死んだものが美しい調和を見せています。野田さんは「今回の絵には中心がなく、どこの部分を取っても価値が高くしないといけない」と話します。

トンボ周辺の拡大図

画面左下にあるトンボは、葉に止まって死んだ姿のまま、雪に埋もれてひと冬を越し、春にそのままの姿を見せた実際の経験を元に描いたと言います。

 

野田弘志「蒼天」

これまで最大だった「蒼天」と隣り合わせで飾られており、迫力があります。今回で野田さんの作品は30点になりました。

岡倉聡宏「Figure」

そのほか41歳以上を対象に写実絵画を募集する第2回ホキ美術館プラチナ大賞の入選作品も飾られています。写真以上にリアルな作品に驚いてしまいます。(読売新聞美術展ナビ編集班 若水浩)