【開幕】国宝「源氏物語絵巻」が徳川美術館で修復後はじめての全巻特別公開 尾張徳川家伝来の中国絵画の名品が並ぶ「唐絵」展も

特別公開されている国宝「源氏物語絵巻」

尾張徳川家の宝物を伝える徳川美術館(名古屋市)で、「国宝 源氏物語絵巻 館蔵全巻特別公開」と企画展「唐絵」が11月13日から始まりました。12月12日まで。
特別公開では、保存修復を終えた国宝「源氏物語絵巻」(平安時代・12世紀)全15巻を前後期にわけてお披露目。「唐絵」展では、尾張徳川家に伝来した中国絵画の名品を一堂に展示します。

修復完了記念 館蔵全巻特別公開 国宝 源氏物語絵巻
企画展「唐絵-尾張徳川家の中国絵画」
会場:徳川美術館(名古屋市東区徳川町1017)
会期:2021年11月13日(土)~12月12日(日)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料:一般1400円、高・大生700円、小・中生500円
詳しくは徳川美術館の公式サイトへ。

開幕前日の内覧会を取材しました


徳川美術館(名古屋市)の国宝「源氏物語絵巻」の修復が完了し、11月13日から全15巻を前後期に分けて特別公開します。報道内覧会に伺いました。900年前の平安の王朝美に圧倒されました。

特別公開されている国宝「源氏物語絵巻」

昭和初期に、絵と詞(ことば)を分断する額装に改められましたが、今回の修理に伴い、本来の巻物の形に。かな文字と絵が一緒になることで、ことばと絵が響きあう鑑賞が楽しめます。

代表的な場面「柏木(三)」

数百年という将来を見据えた修復事業の成果です。修復の過程もしっかりと展示されています。
見ることで文化財の支援にもつながります。
前期(11月13日~30日)と後期(12月1日~12日)にわけて、全15巻を展示します。

秀吉から家康に遺品として贈られた絵

瀟湘八景 遠浦帰帆図 玉澗筆・同賛 名物

同時開催の「唐絵」展も注目です。
南宋時代の重要文化財「名物 遠浦帰帆図」は西日の太陽の光を表現したまるで「印象派」。
来歴も面白いです。この絵は、室町将軍が所持し、小田原北条家へ。小田原征伐で、豊臣秀吉が入手、その後、徳川家康、尾張徳川家へと伝来した名物。
死期を悟った秀吉が、前田利家邸で、諸大名たちに遺品分けを行った際に、筆頭の臣下だった家康に譲った、つまり秀吉にとってこの絵がNO.1の宝物だったとのこと。

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)