【プレビュー】 半世紀ぶり寺の外に 特別展「空也上人と六波羅蜜寺」 3月1日から東京国立博物館で開催

重要文化財 空也上人立像(部分) 康勝作 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵 写真 城野誠治

口から6体の阿弥陀仏が現れる印象的な姿の空也上人立像。50年ぶりにお寺を出て、六波羅蜜寺に伝わる他の仏像とともに展示される。平安時代に南無阿弥陀仏と唱えて各地を遍歴し厚い信仰を集めた空也上人は、京に疫病が流行した時は市中を歩み、人々のために祈りを捧げたことでも知られている。その上人が十一面観音立像を本尊として京都東山に創建した西光寺が、後に六波羅蜜寺となる。2022年は空也上人没後1050年にあたる。特別展では四天王立像、平清盛像と伝わる座像など、六波羅蜜寺に伝わる鎌倉時代の1730点の名品が一堂に会する。

特別展「空也上人と六波羅蜜寺」 

東京国立博物館(東京・上野)本館特別5室

会  期  202231()58()

開館時間  午前930分-午後5

休館日  月曜日、322日 ※321(月・祝)、同28()52()は開館

入場料  未定 

JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10

東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、同千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15

詳しくは公式サイト

重要文化財 空也上人立像 康勝作 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵 写真 城野誠治

念仏の声とともに口から小さな阿弥陀仏が姿を現す珍しい姿。こうした像は欧米には無いという。平安末期から鎌倉初期にかけて活躍した仏師である運慶の四男康勝こうしょうの作で、鎌倉時代の13世紀につくられた。首から下げた鉦をたたきながら、左手に鹿角杖を持って歩く遊行僧の姿をしている。開いた口から木造の6体の阿弥陀仏が現われる様は、空也上人が「南無阿弥陀仏」の名号を唱えると、その声が阿弥陀如来の姿に変わったという伝承を表している。お寺に安置されている時はほぼ正面からしか拝観できないが、展示では360度から見ることができる。

重要文化財 空也上人立像 康勝作 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵 写真 城野誠治

六波羅蜜寺は京都・東山の古くは鳥辺野と呼ばれた、葬送の地であり信仰の場でもあった場所の隣にある。何度も兵火に遭うが創建時からの名品を伝えて来た。

重要文化財 四天王立像のうち持国天立像 平安時代・10世紀 京都・六波羅蜜寺蔵
重要文化財 地蔵菩薩立像 平安時代・11世紀 京都・六波羅蜜寺蔵

持国天立像は空也上人が西光寺の本尊十一面観音立像を造立した際に、同時につくられたと伝わる。像高180センチ弱の大きさで、一木造りならではの重量感をもつ。彫り口は浅く、平安時代前期から後期への作風の変化が見られる。地蔵菩薩立像は『今昔物語集』に出てくる、地獄に落ちた源国挙みなもとのくにたかが地蔵菩薩の助けで生き返ったことから、仏師定朝につくらせ六波羅蜜寺に安置した像と考えられている。

重要文化財 伝平清盛坐像 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵
重要文化財 閻魔王坐像 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵

12世紀後半、六波羅には平氏の邸宅が建ち並んでいた。伝平清盛坐像は平氏滅亡からほどなくつくられた像。鳥辺野は葬送の地だったため、冥界への入り口と考えられていた。六波羅蜜寺の近くには「六道の辻」と呼ばれる一画がある。死者は冥界で閻魔王など十王の裁きを受け、六道(天、人、修羅、畜生、餓鬼、地獄)への転生が決まる。空也上人は念仏を唱え阿弥陀如来にすがれば極楽に行けると説いた。

重要文化財 運慶坐像 鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵

六波羅蜜寺には運慶作の地蔵菩薩坐像、運慶の四男康勝作の空也上人立像、運慶一門の運覚が造った地蔵菩薩立像(現在、静岡県の岩水寺所蔵)などがあった。有力者の庇護を受け、当時の一流の仏師に造像を依頼することができたのだろう。

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)

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