23日まで延長【特別公開中】205年ぶり 元三大師胎内仏「鬼大師」 深大寺

205年ぶりに深大寺で御開帳されている「鬼大師」

深大寺(東京・調布市)113日から、元三がんざん大師の胎内仏である「鬼大師」の205年ぶりとなる特別公開が行われている。

深大寺本堂

二重の厨子に納められた秘仏

深大寺は天平5(733)年に法相宗の寺院として創建。平安時代に天台宗に改まり元三大師像を奉安するようになる。元三大師(912-985)=慈恵大師良源は天台宗の第18世座主で、火災で大きな被害を受けた延暦寺を復興させて中興の祖と称される。深大寺の大師座像は像高2メートルにもなる日本最大の肖像彫刻で、厄除け大師として篤い信仰を集めている。元三大師堂に安置され本来50年に一度開帳(25年に一度の中開帳もある)される秘仏だが、この度1012日から東京国立博物館で始まった「最澄と天台宗のすべて」展に出開帳でかいちょうされた。鬼大師もこれを記念して開帳することになった。元三大師が鬼に姿を変えたとされる鬼大師は、わずか15センチほどの大きさ。二重の厨子に納められ、秘仏として扉は閉じられたままだった。205年前の江戸時代、文化13(1816)年に元三大師像とともに江戸両国に出開帳されたとされ、その時以来、一度も開扉されたことはない。

 

「元三大師」東京国立博物館「出開帳」記念 元三大師胎内仏「鬼大師」特別公開
場所:深大寺釈迦堂(東京・調布)
会期:113(水・祝)11月23日(火曜)(当初の21日までから延長)
時間:午前10時~午後4
休日:なし
拝観料:500円 中学生以下無料
京王線調布駅からバスで1015分。同つつじヶ丘駅からバス15分。
JR吉祥寺駅からバス30分。同三鷹駅からバス25分。
詳しくは深大寺ホームページへ
東京国立博物館で開かれている「最澄と天台宗のすべて」展に出開帳されている元三大師像

疫病退散を願って

特別公開が行われているのは境内の釈迦堂。堂内は狭いため少人数ずつの拝観となる。入る前に元三大師や鬼大師について動画による説明がある。堂内では短い音声の説明を聞き、一列に並んで順に拝観する。「鬼大師」は木造で像高15センチほど。全体に黒っぽい。爪先を立てて膝を突き、やや前かがみで、両手は太ももの付け根あたりにあて、金色の両目を見開き口は耳元まで裂けるように大きく開けている。拝観者は正面間近で手を合わせるのだが、角のある小さな大師様は可愛くもさえ見える。

通常、釈迦堂には飛鳥時代後期に作られた釈迦如来倚像いぞうが安置されているが、元三大師像とともに「最澄と天台宗のすべて」展に出開帳されている。この像は椅子に座った珍しい姿で、寺院伝来のものとしては東日本最古の国宝。深大寺広報の神原玄裕さんは「元三大師は疫病退散のご利益で知られています。コロナの終息を願う今、その胎内仏の鬼大師をぜひお参りしていただきたいと思います。御開帳は205年ぶりで、私たちの生きている間はもうないでしょう」と語る。

釈迦堂の中に置かれた「鬼大師」の納められた厨子(11月2日撮影)
「鬼大師」の特別公開が行われる釈迦堂前には拝観者の列が。平日でも20分程度待つという。

復刻版お札

深大寺では通常、魔除けのご利益の「角大師」と「豆大師」のお札があるが、特別公開を記念して「鬼大師」と「元三大師御影」の2枚を特別に加えて用意している。江戸時代に作られた版木から手刷りしたもので、数量限定。

(上)鬼大師、(下左)豆大師、(下右)角大師のお札

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)

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深大寺の公式ツイッターで混雑状況がわかります。