都心で味わう、総合商社ならではの豪華コレクション 「丸紅ギャラリー」がオープン

名作が並ぶ展示室

日本を代表する総合商社の丸紅。皇居のお堀端にそびえる本社の新社屋は今年5月に完成しました。旧社屋に引き続き、都心を代表するランドマークのひとつとして、とりわけビジネスパーソンにはもうおなじみでしょう。

このビルの3階に11月1日、新社屋の完成を記念して「丸紅ギャラリー」がオープンしました。同社は絵画、染織品、染織図案を3本の柱として、合計約1300点にのぼる豊富な美術品コレクションを誇ります。これまでも企画展などの形で一般に公開してきましたが、展示施設を作るのは初めてです。

展示室へのアプローチ。さすが総合商社、というセンスのよい作りです

日仏交流の足跡をコレクションでたどる

オープニングを飾る展覧会は「日仏近代絵画の響き合い」。フランス側は19世紀写実派のコローやクールベによる風景画から始まり、ルノワール、ルドン、デュフィ、ヴラマンクらに連なる巨匠たちの作品。一方、日本側は彼らから影響を受けた藤島武二、岡田三郎助、和田英作、川島理一郎、梅原龍三郎、安井曾太郎、小磯良平、荻須高徳など豪華な顔触れです。彼らの作品の筆づかいや色づかいなどの作風をベースにした分類に基づいて展示することで、日仏の芸術交流や響き合いを紹介します。

巨匠たちの逸品が並ぶ展示室

今回の展示の主な作品を紹介します。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー《ヴィル=ダヴレーのあずまや》1847年

コローの大作で、丸紅のコレクションを代表する逸品。家族と一緒に過ごした情景を描きました。右端に見えるのはコロー本人、手前で新聞を読んでいるのは父。母や姉、姉婿も小さく描かれており、家族思いのコローの人柄をうかがわせます。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《エスタックのオリーブ畑》1882年
藤島武二《浜辺》1898年
オディロン・ルドン《青い花瓶のキンセンカ》1910年頃
岡田三郎助《沼のほとり》1919年
モイーズ・キスリング《ミモザの花》1952年

アートとビジネス、密接に関連

これに続く「丸紅ゆかりの芸術家たち」のコーナーもとても興味深いです。

丸紅は1858年の創業以来、第二次大戦までは繊維を中心とした卸販売業者として発展してきました。その関係で早くから染織品の蒐集を進め、また染織品の新しいデザインを考案する目的で、「あかね会」という染色図案研究会を主宰していました。「あかね会」には竹内栖鳳、西村五雲、川端龍子、堂本印象、山口蓬春、藤島武ニ、岡田三郎助、朝倉文夫、北村西望、鹿島英二、山鹿清華、六角紫水ら錚々たる顔ぶれがそろっていました。今回のオープニング記念展では、こうした丸紅の歴史を感じさせる珍しい作品が写真パネルで紹介されています。

竹内栖鳳《磯つづれ 五》1928年

1913年の文展出品作品《絵になる最初》に描かれ、「栖鳳絣」と呼ばれたきものの図柄の発展形と思われます。

岡田三郎助《山野草》1934年

こちらは洋画界の巨匠、岡田三郎助の図案。

こちらは丸紅の1960年の社内報「まるべに」。表紙を描いているのはなんと小磯良平です。小磯は1955年から61年までの間、社内報の表紙をデザインしていました。小磯ほどの巨匠に表紙画を依頼するところに、丸紅と美術界の深いつながりを感じさせます。

丸紅の社会貢献の発信の場に

今後、同館では年3回程度の企画展を通じて、「丸紅コレクション」を一般に公開。丸紅の社会貢献の発信の場としていく方針です。

丸紅ギャラリーの杉浦勉館長は「このギャラリーは、戦前から戦後にかけて新しいことに挑戦するという丸紅の社是『正・新・和』の『新』を脈々と実践してきた先輩諸氏の思いにも応えるものであります。ビジネスを通じて蒐集された丸紅コレクションには必ずしも作品間に統一感や脈絡がないようにも思えます。その中から作品を抽出し、展覧会をどのように構成するかは、私たちに課せられた大きな課題です。その困難さを克服することが、私たちの挑戦と楽しみでもあります」とコメントしています。

ギャラリーには、丸紅の社是の扁額も掲げられている

都心に誕生した新しいアートの発信地。これからどのような展開をみせるか注目です。

<開催概要>

展覧会名:開館記念展Ⅰ 日仏近代絵画の響き合い

会期:2021年11月1日(月)~2022年1月31日(月)

会場:丸紅ギャラリー(東京・大手町 丸紅ビル3階、東京メトロ東西線「竹橋」駅から徒歩1分、東京メトロ「大手町」駅から徒歩6分など)

開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)

休館日:日曜日、祝日、11月20日(土)、年末年始(2021年12月29日~2022年1月3日)

入館料:一般500円(※社会福祉法人丸紅基金に全額寄付)

丸紅ギャラリーのホームページ(https://www.marubeni.com/gallery/

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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