【プレビュー】 アメリカ人ならみんな知っている画家 生誕160年記念「グランマ・モーゼス展―素敵な100年人生」 世田谷美術館(東京・世田谷)で11月20日(土)開幕

グランマ・モーゼス(モーゼスおばさん)の愛称で親しまれ、アメリカ人なら誰でも知っている国民的画家アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス(1860-1961)の生誕160年を記念した展覧会。グランマ・モーゼスはアメリカのニューヨーク州東部の出身で、人生の大半を農家の主婦として生きたが70代で本格的に絵を描き始め、80歳で初めてニューヨークで個展を開いた。ニュー・イングランドの田園風景や日々の暮らしを素朴なタッチで描いた絵は、大恐慌や第二次世界大戦で疲弊したアメリカの人々の心をとらえ、たちまち人気作家となった。以後も堅実な暮らしを守り、101歳で亡くなるまで絵筆を取り続けた。最初期から100歳で描いた最後の作品まで、愛用品なども含め4章にわたり130点を展示する。今回の展覧会は4~6月の大阪、7~9月の名古屋、9~11月の静岡に続くもので、次回は4月から東広島市で開かれる。
生誕160年記念「グランマ・モーゼス展-素敵な100年人生」
世田谷美術館1階展示室(東京・世田谷)
会 期 11月20日(土)~2022年2月27日(日)
開館時間 午前10時~午後6時(入場は5時30分まで)
休館日 月曜日(祝・休日の場合は開館、翌平日休館)、12月29日(水)~1月3日(月)
入館料 一般1600円ほか 日時指定券が必要
東急田園都市線「用賀」駅から美術館行バスで「美術館」下車、徒歩3分
同駅から徒歩17分
詳しくは同館ホームページへ
第1章 アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス

彼女の作品のほとんどはニューヨーク州とヴァーモント州にまたがる田園とその土地の人々の日常を描いたもの。モーゼスと縁のある場所や人生の転機となった作品などを展示する。

第2章 仕事と幸せと

キルトや石鹸、ロウソク作り、作物の収穫など自力でしなくてはならない仕事は、多くの人が集まり、仲間意識を育む場でもあった。この章では家族や村の人々の素朴な日常の暮らしを紹介する。

第3章 季節ごとのお祝い

村の人々は季節の微妙な変化を大切にして、季節ごとの特別な行事を開いた。春の訪れの予兆として楓の樹液がめぐり始める2月には、樹液からメープル・シロップと砂糖を作るシュガリング・オフ。夏にはピクニック。晩夏から初秋にかけてはアップル・バター作り。秋と冬にはハローウィンとサンクスギビング、クリスマス。

第4章 美しき世界

モーゼスの絵の最も大切なテーマは自然の変わらぬ美しさ。自然は穏やかで平穏な時も、混乱と脅威となる時もある。彼女はそのどちらにも敬意を表し、目の前に映る風景を捉えた。100歳で描いた絶筆《虹》も。

愛用品・資料


展覧会の公式サポーターは結城アンナさん、音声ガイドナレーションは吉岡秀隆さんで、テーマ曲のフォスター作曲「金髪のジェニー」をピアニストの辻井伸行さんが演奏する。
会場にはメープルシロップせっけんやアップルバターなどのグッズも。
◆次回展覧会 2022年4月12日(火)~5月22日(日) 東広島市美術館
(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)