【開幕】柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年 東京国立近代美術館で来年2月13日まで

「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」が10月26日(火)、東京国立近代美術館で開幕する。「ローカルであり、モダンである」民藝を、柳らが集めた陶磁器など暮らしの道具類や大津絵など総点数400を超える作品と資料を通して、浮かび上がらせる。2022年2月13日(日)まで。

柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年
会期:2021年10月26日(火)~2022年2月13日(日)
会場:東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
開館時間:10:00~17:00(金・土曜日は10:00~20:00)※入館は閉館の30分前まで
観覧料:一般1800円、大学生1200円、高校生700円
休館日:月曜(ただし1月10日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)と1月11日
東京メトロ東西線竹橋駅 1b出口より徒歩3分
詳しくは展覧会公式サイト

開幕前日の内覧会を取材しました

10月26日から東京国立近代美術館(東京・竹橋)で始まる「民藝の100年」。柳宗悦の没後60年を記念した展覧会の内覧会に伺いました。「素朴」ではとらえきれない民藝の世界が広がっていました。

5章の4 東北の民藝と「経世済民」コーナー

柳宗悦が<民藝>的な美に目覚めたのは、朝鮮の無垢な白い壺(日本民藝館)であることが知られています。この壺が柳のもとに現れるきっかけとなったのは、ロダン本人が贈ったブロンズ像(大原美術館 白樺美術館より永久寄託)でした。この歴史的な瞬間が再現されています。

{右)染付秋草文面取壺(瓢形瓶部分)朝鮮半島 朝鮮時代 18世紀前半 日本民芸館 (左)ある小さき影 オーギュスト・ロダン 1885年 大原美術館(白樺美術館より永久寄託)

朝鮮陶磁器の美を知った柳は、日本の朝鮮政策を批判する「朝鮮人を想ふ」「朝鮮の友に贈る書」などを発表。1924年にはソウルに朝鮮民族美術館を開館しました。それに先立つ22年に開いた李朝陶磁器展覧会に並んだ3つの壺が100年ぶりに同じ場所に。

(左)鉄砂虎鷺文壺 朝鮮半島 朝鮮時代 17世紀後半 大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈・安宅コレクション)(中央)染付辰砂蓮花文壺 朝鮮半島 朝鮮時代 18世紀後半 大阪市立東洋陶磁美術館(安宅英一氏寄贈)(右)染付鉄砂葡萄栗鼠文壺 朝鮮半島 朝鮮時代 17世紀末期~18世紀初期 日本民藝館

李朝陶磁器展覧会にて(1922年10月5日~7日、ソウル[京城]・黄金町・朝鮮貴族会館)1922年10月5日

1925年末、柳宗悦・河井寛次郎・濱田庄司が木喰仏を調べる旅の途中で「民衆的工藝(民藝)」という新語が生まれたそうです。 民藝とともに広まったのがごく当たり前の安物、雑器という意味の「下手物(げてもの)」。 柳が魅了された下手物の一つが古着として売られていた丹波布。

地蔵菩薩像 木喰五行 1801年 日本民藝館
丹波布夜具地 丹波(兵庫県) 江戸~明治時代 19世紀 日本民藝館

古着の丹波布は、柳たちの民藝運動で、表装具や出版物の装丁などに使われ、リサイクル品以上の付加価値をうみだしました。

大津絵 塔 江戸時代 18世紀 日本民藝館
「工藝」(第1号~第120号)帙10点の一部 1931年1月~51年1月 国立新美術館
「工藝」(第1号~第120号)の一部 1931年1月~51年1月 国立新美術館

江戸時代のものの収集から始まった民藝運動ですが、現存する手仕事への関心を広げました。むしろ、そちらのほうが、今の民芸のイメージに近いかもしれません。 柳が芹沢銈介との協働でつくりあげた全長13メートルを超える巨大な「日本民藝地図」は圧巻です。

日本民藝地図(現在之日本民藝)芹沢銈介 1941年 日本民藝館

民藝品が販売されることを三本柱の一つとした民藝運動。今展では、展示後に行くミュージアムショップではなく、展示の最後を飾る一スペースとしてショップがあります。ちなみに記者は、山梨の印伝名刺入れを購入しました。

「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」は東京国立近代美術館(東京・竹橋)で10月26日(火)から来年2月13日(日)まで。
(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)

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