【開幕】「白井晟一 入門」展が白井が設計した渋谷区立松濤美術館で来年1月30日まで

松濤美術館

建築家白井晟一を回顧する「渋谷区立松濤美術館 開館40周年記念 白井晟一 入門」展が10月23日(土)、白井が設計した渋谷区立松濤美術館で開幕する。2022年1月30日まで。

開幕前日の内覧会を取材しました

訪れる人に強い印象を残す渋谷区立松濤美術館の建物といえば、瀟洒な高級住宅街の一角というロケーションも含めて首都圏の美術ファンにはおなじみですね。この設計で知られる建築家を回顧する「白井晟一 入門」展があす10月23日(土)から始まります。内覧会に伺いました。



白井晟一(1905~1983)は京都に生まれ、京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)図案科を卒業。ドイツで哲学を学ぶなどし、独学で建築の道に進んだ異色の経歴の持ち主。そのユニークなスタイルから「哲学の建築家」などとも評されました。改めて松濤美術館を見ても確かに独特ですね。



この模型の建物も「あっ!」と思う方は多いはず。六本木や東京タワーに近い飯倉交差点の一角にそびえるランドマーク、「ノアビル」です。一貫した建築家の流儀を感じます。

こちらもどこかで見たことがあるデザインでは? お手元の中公文庫や中公新書を開いてみたらいかがでしょう。装丁でも知られました。倉橋由美子や幸田文、広津和郎、田中美知太郎など錚々たる顔触れの書籍を手掛けており、そのセンスに感嘆です。

親和銀行本店(長崎)、秋ノ宮村役場(秋田)など主要作品の模型や写真、設計図など豊富な展示。「原爆堂」など構想で終わった未完の作品も興味深いです。

開館40周年を記念する展覧会は前・後期の2部構成です。その生涯を概観する第1部「白井晟一クロニクル」は12月12日(日)まで。松濤美術館自体を当初の姿に近づけて紹介する第2部「Back to 1981建物公開」は来年1月4日(火)~1月30日(日)です。いずれも楽しみです。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

「渋谷区立松濤美術館 開館40周年記念 白井晟一 入門」展(10月23日~2022年1月30日)の概要はこちらから。