【新シリーズ】「no art, no life」今まで見たことのない芸術を紹介するEテレの5分番組 10月21、28日、11月4日に放送

11月4日放送の半澤真人さんの作品

誰にもまねできない作品を創作し続けるアーティストたちを紹介するNHKの5分番組no art, no life。「アール・ブリュット」(生の芸術)や「アウトサイダー・アート」と呼ばれる、既存の美術教育や文脈などに左右されないアート作品が近年、注目されています。誰に頼まれたわけでもなく生み出された作品は、見る人の心をざわつかせ、そして心をふるわせます。

「なんだか分からないけどすごい」。タイトルのアーティストの名前を見ても、多くの人にとっては知らない名前ばかり。そんなアーティストたちを、2019年から紹介してきたのがこの番組です。その新シリーズが、1021日(木)早朝の放送から始まります。

各回に登場するアーティストを、取材をした担当ディレクターのコメントとともに紹介します。

「辰巳公紀」 1021日放送

岩手県盛岡市の福祉施設に通う辰巳公紀さん(67)は、20年以上、紙に感謝の言葉を書き続けてきました。文字でびっしりと埋め尽くされ、自ら「呪文」と呼ぶ作品群は、6000点を超えます。
脳に障害を抱えて育った辰巳さんは、文字を書くことを母に教えられました。「おかあさんはおおきくなってもいつもひとをあいしなさいとげんきづけてくれました」。祈るようにつづられる言葉には、周囲への感謝の気持ちと過去の記憶が込められています。

取材したディレクターのコメント 

「辰巳さん自身がアートですよ!」。電話で取材した時の職員さんの言葉が、ずっと心に残っていました。<人がアートとは?>。

辰巳さんは体が不自由で、言葉も少し聞き取りづらい。一歩ずつゆっくり歩くので、バスの乗り降りやレジで、どうしても列ができてしまいます。
でも、辰巳さんはかならず感謝と挨拶の言葉を述べて立ち去っていきます。「運転気をつけて」や「お疲れ様です」と、相手をねぎらう言葉も忘れません。時には突然自慢の歌を披露し、周りを喜ばせます。辰巳さんがいると、そこには自然と優しさがあふれて、みなが笑顔になるのです。

「ああ、これがアートなんだ」。撮影が終わり、謎が解けました。

(放送は1021() 午前555分~、再放送は1022(金)午前1150分~)

「對馬考哉」 1028日放送

青森県に暮らす對馬考哉さん(34)は、19歳で統合失調症を患い、幻覚に悩まされてきました。ペンを手に取り絵と向き合うことで、複雑にからまった心の中を整理しています。彼は、全く異なるもうひとつの創作にも取り組んでいます。
それは、小説。
他人からは理解されにくい心の病を抱えたことから、自分にしか見えない“現実以上のもの”を表現したいとキーボードを叩き続けます。その人生を支えてきたのは、学生時代の意外な出発点でした。

取材したディレクターのコメント

考哉さんの作品に「目快復」と題された絵があります。お母さんが目の手術をする際に、成功を祈願して描いたといいます。スタッズの帽子にパンクTシャツ、寡黙で孤高のアーティスト然としているが、考哉さんのまなざしはいつもどこか優しい。
病を患ってから始めた小説の執筆。自らの障害や家族をテーマにしたものが多く、今ではその数40作品を超えています。インターネットで一部の作品を公開しているので、ぜひ読んでみてください。

(放送は1028() 午前555分~、再放送は1029(金)午前1150分~)

「半澤真人」 114日放送

神奈川県川崎市の福祉施設で鮮やかな色使いの絵を描くのは、半澤真人さん(45)。彼が絵を描くときは、いつも笑顔。ニコニコ顔でペンを握ると、建物も動物も、いのちがウキウキと踊り出します。見ているこちらまで不思議と笑みがこぼれてくるような、躍動感あふれる独特のタッチ。

代表作「工場シリーズ」では、ゴツゴツした配管がウネウネと這い回る生命力あふれる作品が評価されました。家族に温かく見守られ、ひとつの個性を伸ばすことの大切さが伝わります。

取材したディレクターのコメント

真人さんの魅力は、自身の好きなもの・コトを「好き」だとまっすぐに見て表現出来ることだと思いました。絵を描く時、家族と過ごしている時に嬉しそうな笑顔の真人さんを見ていると、好意を恥ずかしがらず正直に伝える大切さを実感しました。
半澤さんの家族は真人さんが小さな頃、様々な景色を見せたいという思いから、長期休暇は海外へ旅行し、訪れた国々では美術館(オルセー美術館など)をまわったそうです。
自宅の壁には真人さんの作品がたくさん額装されています。番組で取り上げた動物園通いのエピソードなど、家族の愛情とそれまでの経験が真人さんの人柄と作品を作っているのだと感じました。

(放送は114()午前555分~、再放送は115日(金)午前1150分~)

番組名 no art, no life

放送局 NHK Eテレ

放送日時

「辰巳公紀」 1021()午前555

「對馬考哉」 1028() 午前555

「半澤真人」 114() 午前555

*再放送はいずれも翌日の金曜午前1150

1023日(土)深夜2430分~2455分には過去のシリーズを含めたセレクション番組が放送される。

「no art, no life」番組ホームページ

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)

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