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33人の江戸時代のお姫様 徳川美術館の「尾張姫君ものがたり」展から国宝など3点を学芸員が解説

今回紹介する3点以外にもきらびやかな作品が多く展示されている。重要文化財  純金香盆飾り 千代姫所用   江戸時代 寛永16年(1639) 徳川美術館蔵

徳川美術館・名古屋市蓬左文庫で開催中の秋季特別展「尾張姫君ものがたり」では、33人の尾張国の姫君たちが持ち、使っていた豪華絢爛な品々を多数展示し、江戸時代のお姫様たちの暮らしぶりを紹介しています。担当した徳川美術館の吉川美穂・学芸部長代理に国宝など3点をえりすぐり、解説してもらいました。

初代義直支えた 生母一家の結束

尾張徳川家歴代の女性たちのなかで、扇の要に値する重要な役割を果たしたのが、初代義直の生母・お亀の方(相応院)です。
家康の側室であったお亀は、わずか8歳で尾張国主となった義直に代わり、家康と家臣との取り次ぎ役を担いました。
また、義直の側近を自身の血縁者で固め、義直を支える政治体制を作り、尾張徳川家の礎を築きました。
お亀の所用と伝えられた貝桶には、義直とその側室おさい、義直の娘の京姫、義直の異父兄・竹腰たけのこし正信の妻が絵を描いた合貝あわせがいが伴います。お亀一家の結束を象徴するかのような道具です。

武蔵野蒔絵貝桶むさしのまきえかいおけ・合貝 お亀の方所用 江戸時代 17世紀 徳川美術館蔵

3歳で嫁入り 将軍家橋渡し

3代将軍・家光には当初、男子がなく、自らの血脈を守り、幕府権力の強化を図るため、長女の千代姫をわずか3歳で、のちに尾張徳川家2代となる光友に嫁がせました。
婚礼に際し千代姫が持参した「初音の調度」は、将軍家の姫君としての威光を具現する豪華な婚礼調度です。
千代姫は嫁いだ後も4代将軍・家綱、5代将軍・綱吉の姉として60年にわたり将軍家との橋渡し役となり、多くの恩恵を尾張徳川家にもたらしました。
千代姫が産んだ長男・綱誠つななりは尾張徳川家3代、次男の義行は高須松平家初代となり、繁栄の一時代を築きました。

国宝 初音蒔絵鏡台はつねまきえきょうだい 千代姫所用 江戸時代 寛永16年(1639年) 徳川美術館蔵

息子が藩主継ぎ 整えられた格式

江戸時代の大名家は、家の存続のため世継ぎを確保する必要があり、正室以外にも多くの女性たちが存在しました。なかでも正室に次ぐ厚遇を受けたのが藩主の生母です。
3代・綱誠つななりの側室・和泉いずみは、息子の継友つぐともが6代を継ぐと、名古屋城三之丸内に屋敷を与えられ、生母としての格式が整えられました。
建中寺に伝わる女乗物は、他に類例のない朱塗りで、和泉専用の紋が付いています。蒔絵で装飾された女乗物は最上級とされたことから、和泉の藩主生母としての地位がいかに高かったかを示しています。

桜縁巴紋藤橘折枝散蒔絵乗物さくらぶちともえもんふじたちばなおりえだちらしまきえのりもの 和泉所用 江戸時代 18世紀 建中寺蔵

(吉川美穂・徳川美術館学芸部長代理)

「尾張姫君ものがたり」は11月7日まで、徳川美術館・名古屋市蓬左文庫(名古屋市東区)。休館日は毎週月曜日。観覧料は一般1400円、高大生700円、小中生500円。詳しくは同美術館のHPへ。

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