【プレビュー】 「描くひと 谷口ジロー展」 世田谷文学館(東京・世田谷)で10月16日開幕

海外にも多くのファンを持つ漫画家・谷口ジロー(1947-2017)の世界を、自筆原画など約200点で紹介する。緻密な作画や構成によって描き出される谷口の世界は、読者を惹きつける強い力と深い読後感をもたらすことで知られる。日本のマンガ文化の成熟を象徴する存在として世界からも高い評価を得ており、フランスのルーヴル美術館からはオリジナル作品も委託された。近年では『孤独のグルメ』や『歩くひと』がテレビドラマ化されている。

描くひと 谷口ジロー展
会期:2021年10月16日(土)~2022年2月27日(日)
会場:世田谷文学館(東京・世田谷)2階展示場
開館時間:午前10時00分~午後6時00分(入場は午後5時30分まで)
混雑時は入場制限あり
入館料:一般900円ほか
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合は開館し、翌平日に休館)、年末年始(12月29日-2022年1月3日)
京王線「芦花公園」駅より徒歩5分。小田急線「千歳船橋」駅より京王バス「芦花恒春園」下車徒歩5分
詳しくは同文学館ホームページ
「坊っちゃん」の時代   © PAPIER

 

「谷口ジローの温顔と、その下に隠された静かな闘志は終生変わらなかった。自分の才能を磨く努力を怠らず、あらたな挑戦を恐れなかった」関川夏央(作家/『事件屋稼業』『「坊ちゃん」の時代』ほかの共作者)。「谷口ジローの凄いところは、これだけ優れた描き手であるのに、その死後、いまだにその追従者があらわれないということだ。模倣者すらあらわれない」夢枕獏(作家/漫画版「餓狼伝」・漫画版『神々の山嶺』原作者)。

 

© Isabelle Franciosa

 

谷口は196619歳の時に会社を辞めて動物漫画で知られる石川球太のアシスタントとなり、70年に『声にならない鳥のうた』を発表。その後「昭和の絵師」と呼ばれた上村一夫のアシスタントとなる。展示ではデビュー当時の「プロローグ」から年代順に「第1章 漫画家への道のり」、「第2章・70年代~80年代 共作者・原作者とともに時代の空気を描く」、「第3章・80年代 動物・自然をモチーフに拡がる表現」、「第490年代 多彩な作品、これまでにない漫画に挑む」、「第52000年代 高まる評価、深化する表現」、「第62010年代 自由な眼、巧みな手。さらに新しい一歩を」、「エピローグ 最後まで『描くひと』として」の章立てで紹介する。

ブランカ   © PAPIER

 

神々の山嶺   © PAPIER

 

ふらり。   © PAPIER

 

紹介される主な作品を挙げると『声にならない鳥のうた』、初期絵本、『事件屋稼業』、『青の戦士』、『マンハッタン・オプ』、『ブランカ』、『地球氷解事紀』、『ENEMIGO』、『歩くひと』、『犬を飼う』、『孤独のグルメ』、『父の暦』、『センセイの鞄』、『神々の山嶺』、『ふらり。』、『何処にか』など。

明治という時代を生きた人の精神や思想を描いた『「坊っちゃん」の時代』5部作=漱石(第1部『「坊っちゃん」の時代』)、鴎外(2部『秋の舞姫』)、啄木(3部『かの蒼空に』)、秋水(4部『明治流星雨』)、漱石(5部『不機嫌亭漱石』=の特設コーナーも。細密に描かれた服装、店や家の内部、街並み、地形の分かる景観など明治の風景も見事に作中で再現されている。

『「坊っちゃん」の時代』第五部 『不機嫌亭漱石』双葉社刊 © PAPIER
著者初の本格選集『谷口ジローコレクション』刊行

代表作を雑誌初出時と同じB5サイズで、1028日から5か月にわたり毎月2冊ずつ刊行される。世田谷文学館では第1回配本の『父の暦』と『「坊っちゃん」の時代』第1部を1016日から先行販売する。

同時期開催

「世田谷文学館開館25周年記念 セタブン大コレクション展 PART1 ふかくこの生を愛すべし」1016()2022331()

作家の自筆原稿や創作ノート、書画、手紙、書籍、雑誌、文具などの愛用品等々、文学館が収集した10万点に及ぶ資料の中から特色のあるコレクションを紹介する。漱石、鴎外の書など、谷口ジロー「『坊っちゃん』の時代」に寄せたコーナーも開設。

 

 

(読売新聞事業局美術展ナビ編集班・秋山公哉)

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