東北・北海道だけじゃない!「縄文2021―東京に生きた縄文人―」が10月9日、江戸東京博物館で開幕

今年7月、北海道・東北の17の縄文遺跡群がユネスコの世界文化遺産への登録が決まったことで、縄文時代があらためて注目されています。
1万年以上も日本列島で続いた縄文時代は、東北以北だけでなく、実は東京も、モースが発見した「大森貝塚」をはじめ、縄文文化が豊かな土地です。東京という地域の縄文時代を考える特別展「縄文2021―東京に生きた縄文人―」が10月9日から江戸東京博物館(東京・両国)で始まります。
特別展「縄文2021―東京に生きた縄文人―」 |
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会場 東京都江戸東京博物館(東京都墨田区横網1-4-1、JR総武線 両国駅徒歩3分・都営地下鉄大江戸線 両国駅徒歩1分) |
会期 2021年10月9日(土)~12月5日(日) |
休館日 月曜日 |
開館時間 9:30~17:30(入館は閉館の30分前まで) |
観覧料 特別展専用券 一般 1,300円など *事前予約推奨、前売券の販売なし |
詳しくは江戸東京博物館ホームページへ |
考古学だけでなく、アートの面から注目されるのは、土偶や土器などの縄文人の手仕事の技。とくに土偶は女性を模したともいわれ、その美しさから「縄文のビーナス」「多摩ニュータウンのビーナス」の名を受けるものもあります。

今展の目玉のひとつが東京の多摩ニュータウンの発掘調査で見つかった「多摩ニュータウンのビーナス」。2009年に大英博物館で開催された「土偶 The Power of DOGU」でも展示されました。長野県で出土した国宝の「縄文のビーナス」との競演も見ものです。

展覧会の見どころを紹介します。
さながら”縄文ゾーン”
江戸東京博物館は、常設展の江戸の暮らしぶりを再現する復元模型が魅力のひとつ。本展では、江戸博ならではの復元の技で、縄文時代のムラを再現します。

多彩な土偶が100点以上

本展では、国宝をはじめ多彩な土偶が100点以上も展示されます。
長野県茅野市の国宝の土偶2点「縄文ビーナス」と「仮面の女神」は、前期(10月19日~11月14日)・後期(11月16日~12月5日)で入れ替え予定。

東京で見つかったものも、ほぼ完形の「ハート形土偶」など、個性的な土偶が並びます。
道具の数々が伝える縄文人の息づかい
1万年以上続いた縄文時代は、自然との共生した素朴な生活が営まれていました。縄文人の息づかいを伝える道具の数々からは、実用性と造形美を持つ縄文の”用の美”を見つけることができるかもしれません。




今こそ学びたい東京の縄文発掘史
東京の縄文遺跡と言えば「貝塚」。貝塚は縄文人の営みを考古学から解明できる重要な遺跡であるとともに、現代の海岸から離れた場所にあるものなどもあり、地形や自然のダイナミックな変化も学ぶことができます。


プロローグとエピローグを合わせて6章からなる充実した展覧会。東京という地域の縄文時代を考える大規模な展覧会としては、昭和61年(1986年)に銀座ソニービルで開幕した「第2回 東京の遺跡展」(主催・東京都教育委員会)以来、35年ぶりの開催となります。考古学ファンだけでなく日本の美に関心のある方にも楽しめることでしょう。
(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)