【プレビュー】――海を渡った女性デザイナー 世界初の大規模回顧展 「上野リチ:ウィーンから来たデザイン・ファンタジー」 三菱一号館美術館で来年2月開幕

 

「上野リチ:ウィーンから来たデザイン・ファンタジー」
会場:三菱一号館美術館
会期:2022年2月18日(金)~5月15日(日)
休館日:月曜日、展示替えの4月12日も休館。ただし、トークフリーデー(2月28日、3月28日、4月25日)、3月21日、5月2、9日は開館。
アクセス:東京都千代田区丸の内、JR東京駅丸の内南口から徒歩5分、JR有楽町駅国際フォーラム口から徒歩6分、地下鉄を利用する場合、都営三田線日比谷駅B7出口から徒歩3分、東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分、有楽町線有楽町駅D3/D5出口から徒歩6分、丸ノ内線東京駅=地下道直結=から徒歩6分。
入館料:一般1900円、高校、大学生1000円、小、中学生無料。
最新情報は同館サイトで確認を。

上野リチ・リックス(18931967)は、ウィーン生まれ。裕福な実業家の家庭で育ち、ウィーン工芸学校に入学。ウィーン工房を創設した建築家のヨーゼフ・ホフマンに師事し、卒業後、同工房のデザイナーとなった。そこでホフマンの建築事務所にいた建築家・上野伊三郎と知り合い、結婚。京都に渡ってデザイナーとして活躍する一方で、太平洋戦争終戦後は夫婦で教育者としての活動も展開。74歳で生涯を終えた。

「ポートレート:上野リチ・リックス」1930年代 京都国立近代美術館

この展覧会は、リチの仕事を鳥瞰する世界初の包括的回顧展。ウィーンのオーストリア応用芸術博物館/現代美術館、ニューヨークのクーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン・ミュージアム、京都国立近代美術館のコレクションを中心に、みずみずしい色彩、やさしく柔らかな雰囲気が特徴のテキスタイルやデザイン画、装飾タイルなどが展示される。

上野リチ・リックス《プリント服地デザイン[象と子ども]》1943年 京都国立近代美術館
上野リチ・リックス《ウィーン工房テキスタイル・デザイン:苔の花》1924年 豊田市美術館【展示期間:4月13日~5月15日】

エピローグ、プロローグを含め、5つのブロックで構成される展覧会。プロローグでリチの人となりが紹介された後、第Ⅰ章でウィーン工房の概要とそこでのリチの仕事を紹介。第Ⅱ章では日本との出会いと戦前の仕事が中心となる。第Ⅲ章とエピローグは戦前、戦後の日本での活動の数々。京都の地場産業との協働、教え子たちとの仕事など、幅広い活躍ぶりが観覧者の目前に広がる。建築家の村野藤吾に依頼され、教え子とともに描き挙げた日生劇場(東京・日比谷)のレストラン「アクトレス」の壁画は、戦後の仕事の集大成ともいえるものだ。

上野リチ・リックス《七宝飾りプレート[石竹]》1950年頃 京都国立近代美術館
上野リチ・リックス《マッチ箱カバー[淑女2]》1950年頃 京都国立近代美術館

デザインには「ファンタジー」が大切。リチは生前、そう語っていた。「ファンタジー」という言葉を聞くと、日本では「おとぎ話」や「空想の世界」を連想しがちだが、ドイツ語では「想像力」という意味もある。リチのいう「ファンタジー」には、「他人の模倣をせず、想像力を駆使して独自性を発揮する」というような意味合いがあったようで、教え子たちには「制作の際、まねをしないように」と繰り返し伝えていたという。鳥や魚、樹木などの自然を好んでモチーフにしたリチ自身、自由で有機的な曲線を使った独自のデザイン世界を作り上げた。明るくカラフルなその作品群は、没後半世紀が経った21世紀の今も、人々に愛され続けている。

「伊三郎とリチ、船上にて」1924年 京都国立近代美術館

(読売新聞美術展ナビ編集班)

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