【レビュー】「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」1歩目から衝撃!キティちゃんから『いちご新聞』まで800点

「サンリオ展」©️2021 SANRIO CO.,LTD.APPROVAL NO.SP610376

ハローキティ、マイメロディ、キキララ、シナモロール、ポムポムプリンなど、カワイイもの好きの人ならば、おそらくひとつはファンになったことがあるだろうサンリオキャラクターの数々。9月17日に六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューで開幕した「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」は、これらのキャラクターを生み出したサンリオの創業からの歴史を800点以上の商品や原画、資料の展示とともに辿たどる特別展です。来年1月10日まで開催される本展の注目ポイントを開幕前日に行われた内覧会の様子とともに紹介します。

会場に入って1歩目から衝撃の展示が!

名古屋と大分での開催を経て、ついに東京会場での開幕を迎えた「サンリオ展」。キティちゃんのイラストが迎えてくれるエントランスを抜けると、さっそくハイライトのひとつが来場者を迎えてくれます。

海抜250メートルの眺望をバックにそびえる《Unforgettable Tower》は、画期的な手法で世界に日本の「KAWAII」文化を発信しているアーティスト・増田セバスチャンが本展のために製作した作品です。

天空を突くような高さ約8メートルのタワーに近づいてみると、表面にはサンリオキャラクターのぬいぐるみがびっしり。東京展では先に行われた2会場よりも約2倍の高さにパワーアップ。なんと4千個以上のぬいぐるみが使われているといいます。会場内は撮影OKなので、お気に入りのポイントに近づいて撮るもよし、遠くからパノラマな背景と合わせて撮るもよし。始まりから記念撮影がマストなスポットです。

実は“あの巨匠”も関わっていた!? サンリオの創成期

本展は6つのゾーンと10のテーマで構成。最初のゾーンである「カワイイのはじまり」ではハローキティやマイメロディといったオリジナルキャラクターの“誕生前夜”となるサンリオの創成期が紹介されています。その中で、まず目に留まったのは「昔のデザイン制作室」を映した一枚の写真でした。

現在のサンリオは、昭和35年(1960)に東京に設立された山梨シルクセンターと昭和44年(1969)に設立されたサンリオグリーティングという2社が昭和48年(1973)に合併して誕生しました。前者は主にグッズの開発、後者は画力に優れた会社で、両者の長所が合わさって数々のキャラクター商品が生み出されてきたのです。

そんなサンリオにとってキャラクターとは「ときめきを作り出すもの」。創業当初からデザインの採用基準は、売れるかどうかよりも「カワイイか、カワイくないか」にあったといいます。その中で数々のアイデアが生まれたデザイン制作室は、キャラクターの世界観が現れた家が並び立つメルヘンな風景。ところどころにハートや星のモチーフが使われ、今の目で見ても憧れてしまう空間は、まさにサンリオのカワイイ文化へのこだわりを象徴する場所だったといえるでしょう。

60年代のサンリオは、オリジナルデザイン第1号となる「いちごシリーズ」を開発するほか、当時の人気イラストレーターの作品を使ったアイテムを売り出して好評を博しました。作家の中には、水森亜土、佃公彦、内藤ルネのほか、アンパンマンの作者であるやなせたかしら、いずれも後に巨匠となる錚々そうそうたる面々がいました。

特に内藤ルネが生み出した「ルネパンダシリーズ」はサンリオのヒット商品となりました。また、サンリオは初期の頃から出版事業にも乗り出し、第1号書籍として、やなせたかしの初の詩集『愛する歌』を発売しています。創業当時は戦争後の復興を成し遂げ、その後の発展に向かって日本全体がひた走っていった時代。その中で「カワイイ」を追求したサンリオの商品は、人々の生活の中に新しい価値観をもたらしたのです。

サンリオで育った人には懐かしく、若い人には発見が

そして70年代半ばになってオリジナルキャラクターの開発が始まります。そのきっかけとなったのは「Love isシリーズ」の中に登場させた三つ編みの女の子から派生した「パディ&ジミー」のキャラクター展開でした。これに続いて1974年にはハローキティが、その翌年にはマイメロディがデビューしています。

このゾーンの最後では初期のサンリオが手がけた雑誌に関する展示が見られます。その中のひとつに昭和51年(1976)から昭和54年(1979)にかけて出版された漫画雑誌『リリカ』の展示があります。全ページオールカラー、横書きのセリフなど画期的な雑誌の連載陣には、手塚治虫や石ノ森章太郎、ちばてつやら、少年漫画で人気の作家たちも名を連ねていたのが意外な驚きでした。

続く「サンリオキャラクターズ」のゾーンでは、ハローキティ、リトルツインスターズ、マイメロディ、ポチャッコ、シナモロール、ポムポムプリンなど代表的なキャラクターたちが紹介されています。ここはサンリオで育った大人は童心に帰り、若い人にとってはよく知っている有名キャラクターの成り立ちを知れる空間です。

貴重な原画や設定資料のほか、文具やマグカップといった各キャラクターの初期グッズも展示されていて、かつて子どもだったサンリオファンの中には「あ、これ持ってた!」と思わず言ってしまうような懐かしいアイテムもあるはず。

また、途中のボードには、450以上が生み出されたというその他のサンリオキャラクターが集結。家族や友だちとの「このキャラクター好きだったな」とか「こんなキャラクターはいたかしら?」と“ギャップトーク”するのもひとつの楽しみです。

編集部と読者をつないだ『いちご新聞』

なお、各キャラクターの展示にはサンリオの機関紙『いちご新聞』に紹介された誕生秘話が添えられています。次のゾーンには、この『いちご新聞』に関する展示が見られます。昭和50年(1975)から現在まで発刊されているこの新聞。まず何よりも驚きなのは、創刊号の表紙に載っているキャラクターが、なぜかあの「スヌーピー」だということ。

これは当時のサンリオがスヌーピーの作者であるチャールズ・M・シュルツさんと縁があり、スヌーピーのデザインを日本に紹介していたことがきっかけだったそう。

読者参加型が特徴のいちご新聞は単なるサンリオファン獲得のツールだけでなく、「いちごメイト」と呼ばれる読者と編集部とを繋ぐコミュニティの場でもありました。編集部は多い時で1日600通以上届いたという読者の声をすくい上げ、学校生活の問題、いじめ、家族との関わり方、恋など、子ども世代が抱える悩みに真っ向から向き合い、時には“いちごの王様”がそれに答えるというスタイルを貫いてきました。これは今でいうソーシャルネットワークのような繋がりの価値を、サンリオがいち早くから大切にしてきた証ともいえるでしょう。

そして4つ目のゾーンは、いまや世界中の子どもから大人までを魅了するハローキティブームの変遷に迫る展示です。時代に添って変化を重ね、No. 1キャラクターであり続けるキティちゃん。その時代のトレンドとの関わりを紹介する展示に加え、中央にはレディー・ガガが着用した“キティドレス”の再現展示も。上から下まで“キティづくし”のロングドレスは、カワイイを飛び越えて圧巻の一言です。

そして現代アーティストとコラボした「オリジナルアート」のゾーンを抜けて、エンディングとなる「メッセージ」のゾーンへ。これからもカワイイ文化を発信し続けるサンリオの未来への思いを感じながら、最後はお気に入りのキャラクターとの記念写真を思い出として残しましょう。

本展はオリジナルグッズやコラボレーションメニューもいつになく豊富。鑑賞後もサンリオの世界にどっぷり浸かれます。「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」は六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューで来年110日まで開催中。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、入場は専用サイトからの日時指定券の購入を推奨しています。東京会場の後は、新潟、福岡、宮崎などにも巡回予定。

(ライター・鈴木翔)

画像はすべて©️2021 SANRIO CO.,LTD.APPROVAL NO.SP610376

サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史
会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
会期:2021年9月17日(金)~2022年1月10日(月・祝) 会期中無休
観覧料:一般 当日券平日 2100円 当日券土日祝2300円など
詳しくは同展ホームページ

 

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