【心に沁みる展示再び】もういちど「みみをすますように 酒井駒子」展 PLAY!MUSEUM(立川)で9月18日から

展覧会名:もういちど「みみをすますように 酒井駒子」展
会期:2021年9月18日(土)~11月1日(日)会期中無休
開館時間:10:00~18:00(平日は17:00まで/入場は閉館の30分前まで。ただし9月21日(火)、22日(水)、24日(金)は休日扱い)
会場:PLAY! MUSEUM(東京都立川市、JR立川駅北口・多摩モノレール立川北駅北口より徒歩約5分)
入場料:一般1500円、大学生1000円、高校生800円、中・小学生500円(同時開催の「ぐりとぐら しあわせの本」展の料金も含む)
詳しくは同館ウェブサイトへ。

今年4月から7月にかけて同ミュージアムで開催され、高く評価された酒井駒子展を再展示する。同ミュージアムでは再展示の理由について「緊急事態宣言による休館期間があり、広く鑑賞いただく機会が限られたため。森の中をあるくような、かけがえのない体験をお楽しみください」としている。今回はあらたに雑誌の「母の友」(福音館書展)の表紙用に描かれた原画約20点が加わる。

「金曜日の砂糖ちゃん」「ぼく おかあさんのこと…」など、どこか憂いを帯びた美しい絵と、詩的な文章が響きあう独特の作風で高い人気を誇る絵本作家、酒井駒子。「ブラチスラバ世界絵本原画展」で金牌、オランダ「銀の石筆賞」を受賞するなど、国際的にも高く評価されている。これまでに刊行された計25冊から約250点の原画を紹介する。黒色で下塗りした上に、少女や動物たちをひそやかに描く作家独自の手法は『ぼく おかあさんのこと…』(文溪堂)から定着。時に段ボールやボール紙などの素材も使い、コラージュも用いる。印刷では再現の難しい色彩や微妙なタッチ、少女や動物の繊細な表情を間近で見ることができる。

展示構成は酒井作品を象徴する6つの言葉でエリアを分け、特製の額やケースに収められた原画と、物語や文章の断片をめぐっていく。作家が制作を行う山のアトリエ周辺の映像や音、小さなオブジェなどを配し、散歩するように絵と言葉に出会っていく。主な出展作品は以下のとおり。
1.ある日


2.ひみつ


3.こみち

4.はらっぱ

5.こども


6.くらやみ


酒井さんの世界観をリアルで味わうオリジナルグッズも多彩




カフェでは酒井駒子展に連動したオリジナルメニューが登場


併設施設の「PLAY! PARK」(別料金)では、展覧会に関連したワークショップを毎日開催している。

<酒井駒子プロフィール>
1966年生まれ、絵本作家。絵本に『よるくま』『はんなちゃんがめをさましたら』(いずれも偕成社)『ロンパーちゃんとふうせん』(白泉社)など、画文集に『森のノート』(筑摩書房)。『きつねのかみさま』(ポプラ社)で日本絵本賞、『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)でブラチスラバ世界絵本原画展金牌賞、『ぼく おかあさんのこと…』(文溪堂)でピチュー賞(フランス)・銀の石筆賞(オランダ)、『くまとやまねこ』(河出書房新社)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。『ゆきがやんだら』(学研プラス)はニューヨーク・タイムズの「2009年の子供の絵本最良の10冊」にも選ばれた。
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)