《窓辺で手紙を読む女》の修復完了 来年1月東京でお披露目 「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」

ドイツのドレスデン国立古典絵画館は9月9日、記者会見を開き、所蔵するヨハネス・フェルメールの初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》の修復が完了したことを発表、報道陣に初めて公開した。この作品は東京都美術館(上野)で2022年1月22日(土)(開幕日の延期が1月6日に発表されました)に開幕する「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」で展示される。修復後の同作が所蔵館以外で公開されるのは同展が初めて。詳しくは公式サイトへ。

© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Wolfgang Kreische
2017年に始まったこの修復プロジェクトでは、背景に描かれた弓を持つキューピッドの画中画を隠す大規模な上塗りが、フェルメールの没後に何者かによって行われていたことが判明。その上塗り層を除去する修復も行われた。ドレスデン国立古典絵画館のシュテファン・コーヤ館長は「背景のキューピッドの修復によって、画家の真の意図が見えてきます。単なる恋愛という文脈を超えた、真実の愛というものついての根源的なメッセージです」と述べている。

© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Herbert Boswank (2015)
この作品は、窓から差し込む光の表現、室内で手紙を読む女性像など、フェルメールが自身のスタイルを確立したといわれる初期の傑作。1979年のX線調査でキューピッドが描かれた画中画が塗りつぶされていることが判明。今回の調査が行われるまでは、フェルメール自身が消したと考えられてきた。2019年5月には、キューピッドの画中画が部分的に現れた修復途中の作品が、記者発表で公開されている。来年1月開幕の「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」ではこの修復過程も映像などで紹介する。


また同展ではドレスデン国立古典絵画館が所蔵するレンブラント、メツー、ファン・ライスダールなど、17世紀オランダ絵画の黄金期を彩る名作を併せて約70点紹介する。

© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Elke Estel/Hans-Peter Klut

© Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden, Photo by Elke Estel/Hans-Peter Klut

西洋の画家の中でも屈指の人気を誇るフェルメール。修復の過程や改変の経緯など話題も豊富で、興味津々の展覧会になりそうだ。
【開催概要】
展覧会名:ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展
会場:東京都美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園)
会期:2022年1月22日(土)(開幕日の延期が1月6日に発表されました)~4月3日(日)
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
【巡回予定】
【北海道展】北海道立近代美術館 2022年4月~6月※調整中
【大阪展】大阪市立美術館 2022年7月16日(土)~9月25日(日)
【宮城展】会場、会期とも調整中
(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)