【プレビュー】新版画の名品を一堂に 令和3年度特別展「新版画―笠松紫浪を中心に―」 山梨県立美術館で9月14日開幕

令和3年度特別展「新版画―笠松紫浪を中心に―」
会場:山梨県立美術館
会期:2021年9月14日(火)~10月24日(日)
休館日:月曜休館(ただし9月20日は開館)
アクセス:甲府市貢川、JR中央線甲府駅バスターミナル1番乗り場から御勅使、竜王駅経由敷島営業所、大草経由韮崎駅、貢川団地行きのバスで約15分、山梨県立美術館で下車。
観覧料:一般1000円、大学生500円ほか。
※会期が変更になる可能性がございます。来館前に美術館公式サイト(https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp)で開館時間や観覧料などの最新情報を確認してください。

「新版画」とは、江戸時代の浮世絵版画を復活させるために、近代の版画家たちが大正から昭和にかけて生み出した木版画のこと。版元の渡邊版画店の企画として誕生し、橋口五葉や伊東深水の美人画、川瀬巴水や吉田博の風景画、名取春仙の役者絵などが人気を得た。近年、これらの作家が再評価され、新版画を見直す機運が高まりつつある。

橋口五葉《髪梳ける女》1920年 山梨県立美術館蔵
川瀬巴水《増上寺之雪》1953年 山梨県立美術館蔵
名取春仙《初代中村吉右衛門 馬盥 光秀》1925年 山梨県立美術館蔵

笠松紫浪(18981991)は、巴水に追随する風景画家として活躍。「新版画ブーム」が終わり、「創作版画」の時代になってからも、「創作版画」の特徴である自刻自摺を習得しながら、新たな木版画を生み出し続けた。山梨県立美術館は、国内外の美術館で紫浪作品の所蔵数が最大。笠松家から版木やスケッチなどの資料も寄贈されている。今回の特別展では、その紫浪の作品を中心に「新版画」の魅力に迫る。

笠松紫浪《浅草観音堂大提灯》1934年 山梨県立美術館蔵
笠松紫浪《東京タワー》1959年 山梨県立美術館蔵

関連イベントとして期間中、講演会「新版画と笠松紫浪」、ワークショップ「木版多色刷ちょこっと体験」などが行われる予定。詳しくは美術館公式サイトを参照。

吉田博《富士拾景 河口湖》1926年 河口湖美術館蔵

(読売新聞美術展ナビ編集班)