愛しくてたまらない! 1000点以上を収集した「ミュージアムグッズ愛好家」が語るグッズの魅力と可能性

美術展や博物館、動物園・水族館などに出かけたら、「グッズ売り場が楽しみ!」という人は多いのではないか。かく言う記者もその一人で、特に「オリジナル」は必ずチェック。自宅にはすでに何枚もあるにもかかわらず、ついついトートバッグはどこに出かけても買ってしまう…。

そんなミュージアムグッズに魅せられ、「ミュージアムグッズ愛好家」を名乗る大澤夏美さん(札幌市)が、10年にわたる「研究活動」の成果をまとめた本「ミュージアムグッズのチカラ」(国書刊行会、1800円税別)を出版した。ページをめくるたびに、全国各地49施設のかわいい、おしゃれなグッズが並ぶ。物欲が刺激されること間違いなしだ。

ミュージアムグッズにはまったきっかけは?

もともと札幌市立大学でデザインを学んでいたという大澤さん。学芸員資格取得のため北海道大学総合博物館で実習に取り組んだ際、「ひとつの展示を作り上げる」取り組みの楽しさを感じたという。「もっと博物館について学びたい」と考え、北海道大学大学院に進み、博物館経営論を学んだ。特に、「モノが好き」「デザイン」「博物館」という要素をかけ算したところにあるグッズに注目するようになった。

「研究を始めた10年ほど前は、博物館のグッズ売り場は『付帯施設』『サービスの一部』と考えている館も多かったと思います。独立行政法人化や指定管理者制度の導入により、たくさんの人に足を運んでもらいたいと経営を考えるようになり、ワクワクするようなものが増えてきたのではないでしょうか」

これはすごい!というグッズは?

グッズを語るうえで、「大阪市立自然史博物館」の存在は重要という。「ミュージアムショップなどの博物館サービス部門を請け負う認定NPO法人の皆さんと、博物館の学芸員さんが、自然な形で、一緒に商品開発に取り組んでいる。その組織づくり、雰囲気づくりが素晴らしいんです」

「ファンの皆さんに『おっ!』と思ってもらえるマニアックなもの、広く人気が出て普段使いできそうなもの、自分たちの館の魅力は何か、こういうことを考え抜いて生み出されたものはその思いがモノから伝わります」

大阪市立自然史博物館(大阪市)では、虫へんの漢字を集めたデザインのシリーズがロングセラー
仙台うみの杜水族館(仙台市)のこけし。地元の伝統工芸との協業から生まれた
徳川美術館(名古屋市)は刀剣の輝きを見事に表現したマスキングテープホルダー。収納に困りがちなテープもこれならすっきり

自宅には1000を超すコレクション。どう使っているの?

大澤さんにとってグッズは「研究資料」なので、ジッパー付きの袋に入れて大切に保管しているそうだ。「どうしても使いたいものは2個買い」という。

東京国立博物館(東京・上野)の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」缶入りクッキーは、空き缶を切手入れとして再利用

コロナ禍のいま、グッズの果たす役割は?

新型コロナウイルスの感染拡大で、休館したり、展示が中止になったりという状況が続いている。そんななか、ウェブサイトやSNSなどでの情報発信を工夫する取り組みが進んだ。図録やオリジナルグッズの通信販売を行う展覧会も増えている。

「ミュージアムグッズやショップは博物館のエンドロール」という大澤さん。最後までじっくり「鑑賞」したい

「グッズは、特にSNSなどでの発信力があります。また、『美術展は出かけるけど自然史の展示は見たことがない』『昆虫は好きだけど歴史は興味がない』といった人たちの垣根を、かわいいモノ、すてきなグッズは越えられると思う。特に最近は、中止になった展覧会のグッズを買って応援、休館の博物館のグッズを買って支援という動きも広がっています。ぜひチェックしてみてほしいです」

美術展で名作に触れた感動や、博物館で本物に触れた興奮に、お気に入りのグッズが加われば、そこに出かけた思い出はますます宝物になりそうだ。本をめくりながら、「いつか出かけたい」と思いを馳せてみては。

(事業局デジタルコンテンツ部 内田淑子)


大澤さんのホームページ「百物気(もものけ)

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