【プレビュー】科学と考古学で、古代エジプトのリアルに迫る―― 特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」 国立科学博物館で10月14日開幕

 

特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」
会場:国立科学博物館
会期:2021年10月14日(木)~2022年1月12日(水)
アクセス:東京都台東区上野公園、JR上野駅公園口から徒歩5分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅7番出口から徒歩10分、京成線京成上野駅正面口から徒歩10分。
※開館時間や入場料・入館方法、休館日などの詳細情報は、公式サイト(https://daiei-miira.exhibit.jp)で確認してください。

古代エジプト文明の研究で世界をけん引してきた大英博物館。その成果を紹介するこの特別展では、CTスキャンを使って6体のミイラを画像解析したことによって知ることができた「ミイラの謎」の数々を紹介する。また、2019年に日本の調査隊が発見し、現在も調査が続いているサッカラ遺跡のカタコンベ(地下集団墓地)を実寸大の部分模型で再現するなど、日本独自の展示も行う。

アメンイリイレトの内棺と、ミイラのCTスキャン画像から作成した3次元構築画像 末期王朝時代・第26王朝、前600年頃、大英博物館蔵 ©The Trustees of British Museum

紹介されるミイラは、「アメンイリイレト テーベの役人」「ネスペルエンネブウ テーベの神官」「ペンアメンネブネスウトタウイ 下エジプトの神官」「タケメネト テーベの既婚女性」「ハワラの子ども」「グレコ・ローマン時代の若い男性」の6体。

子どものミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像 ローマ支配時代、後40~後50年頃、大英博物館蔵 ©The Trustees of British Museum

古代エジプト人は死者が来世で復活するためには、肉体が残っている必要があると信じられていた。死者の肉体はミイラとなること神に近い属性を持つ神聖なものとして作り替えられた。ミイラとともに安置されていた数々の護符や装身具、棺に描かれた神々を象徴する文様……古代エジプト人たちがミイラに込めた思いがそれらから読み取れる。

ジェドバステトイウエフアンクのカノポス壺 前380~343年頃、大英博物館蔵 ©The Trustees of British Museum
ホルス神に授乳するイシス女神像、前664~前332年、大英博物館蔵 ©The Trustees of British Museum

今回展示される4体の成人のミイラにはすべて、「現代病」といわれるアテローム性動脈硬化症の症状がみられ、この病気が古代エジプトの時代から存在していたことも分かった。古代エジプトにおける病気の治療は医者による薬を使った療法に加え、呪術的な儀式や呪文が組み合わされていた。また、CTスキャンの結果から、女性のミイラの髪は頭頂部で束ねられていたことも分かった。

タケメネトのミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像 第3中間期・第25王朝、前700年頃、大英博物館蔵 ©The Trustees of British Museum

6体のミイラを詳細に調べることで分かってきた古代エジプト人の生活や健康状態、信仰や日常の慣習。棺や副葬品などの遺物に触れることで、さらにそれが鮮明になってくる。日本独自の展示の中には、阿波・徳島藩18代当主・蜂須賀正氏がエジプトで入手し、国立科学博物館に寄贈した「猫のミイラ」のCTスキャン画像をもとに作成した映像などもある。太古の昔、人類が育んだ文明について、思いを馳せることができる特別展だ。

猫のミイラ 国立科学博物館蔵

(読売新聞美術展ナビ編集班)

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