【プレビュー】描くのは混沌か、それとも希望か「バンクシーって誰?」展 8月21日から寺田倉庫G1ビルで 

バンクシー 《ノラ》 Nola (Pea Green & Blue Rain)   2008年 個人蔵

世界中のストリートで表現を続けるアート界の異端児「バンクシー」。
謎に包まれたアーティストの全容を、その傑作群で紹介する「バンクシーって誰?展」が8月21日(土)から12月5日(日)まで、寺田倉庫G1ビル(東京・天王洲)で開催される。
今展では、実際に作品が描かれた世界のストリートを立体的に「再現」する展示空間がつくりあげられるなど、バンクシーの作品の世界に肉薄することできる。

モンキー・マスクのバンクシー Banksy, Monkey Mask Session (Tag)  2003年 個人蔵 © Photographed by James Pfaff

謎に包まれたバンクシー

壁に絵を描く行為は、人類が長く魅了されてきた表現方式だ。数万年前の壁画は、現代人にも驚きと感銘を与えてくれる。その描き手がどんな人物だったかは分からないにもかかわらず。
創作活動の全貌や動機などが謎に包まれているストリート・アーティスト「バンクシー」。2018年には、少女と赤い風船を描いた作品が高額で落札されるや、額に仕込まれたシュレッダーで突如作品を細断。瞬く間に世界中で報道され、話題をさらった。

バンクシー《風船と少女》 Girl with Balloon (Diptych) 2006年 個人蔵

日本でも、バンクシー作品と思われるネズミの絵が発見され、各メディアやSNSで拡散されたことが記憶に新しい。

バンクシー《ラヴ・ラット》Love Rat 2004年 個人蔵

パレスチナの分離壁に作品が描かれるなど、世界中で神出鬼没。そこに秘められたメッセージは常に世界中の関心の的だ。

バンクシー《ラヴ・イズ・イン・ジ・エア》  Love Is In The Air 2006年 個人蔵

映画のようなセットでストリートを再現

今展は、世界の各都市を巡回し人気を博した「ジ・アート・オブ・バンクシー展」に出展された作品をベースに、さらにテレビ局(日本テレビ)ならではの”映画のセット”のような街並み再現で、ストリートとともにあるバンクシーの世界へ観客が没入できる意欲的な展覧会となる。

バンクシー《ギャングスタ・ラット》 Gangsta Rat 2004年 個人蔵
バンクシー《テレビと少女》 Girl with TV 2003年 個人蔵

巨匠バスキアやヘリングに次ぐ現代アートの旗手として、世界で最も注目を集めるストリート・アーティストの作品を、幅広い世代が楽しみながら、込められたメッセージも感じ取れる体験ができるはずだ。

バンクシー《スープ缶》 Soup Can 2005年 個人蔵
バンクシー《ストップ・アンド・サーチ》 Stop and Search 2007年 個人蔵
バンクシー《ラフ・ナウ》 Laugh Now 2003年 個人蔵
「バンクシーって誰?展」
会場 寺田倉庫G1ビル(東京都品川区東品川2-6-4、最寄り駅:東京モノレール、りんかい線天王洲アイル駅)
会期 2021年08月21日(土)〜2021年12月05日(日)
開場時間 11:00〜20:00 金、土、祝前日は21:00まで
休館日 10月5日(火)、12日(火)、19日(火)
入場料 前売券・平日:一般1800円など、前売券・土日祝(日時指定):一般2000円など
詳細は公式サイト

そのほかの主な出展作品

バンクシー《セール最終日》 Sale Ends (v.2) 2007年 個人蔵
バンクシー《モンキー・パーラメント》 Monkey Parliament 2009年 個人蔵
バンクシー《失礼な警官》 Rude Copper 2002年 個人蔵
バンクシー《爆弾を抱きしめる少女》 Bomb Love 2002年 個人蔵
バンクシー《コンジェスチョン・チャージ(混雑税)》 Congestion Charge 2004年 ポール・スミス蔵 ©
バンクシー《間違った戦争》 Wrong War 2004年 個人蔵

今展は、名古屋(2021年12月19日~2022年3月27日、グローバルゲート ガレージ名古屋)、大阪(2022年4月23日~6月12日、グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボ)、郡山(福島県)(2022年6月29日~8月24日、ビッグパレットふくしま)を巡回する。※ 郡山の後、高岡(富山県)と福岡でも開催予定。

(読売新聞デジタルコンテンツ部 岡本公樹)

「バンクシーって誰?展」公式サイト ツイッター  インスタグラム

【開幕】ストリートで表現を続けるアーティストの世界に没入「バンクシーって誰?展」


美術展ナビでは、今展のアンバサダーに就任し、音声ガイドを務める中村倫也さんに2度にわたりインタビューをした。

「リアルのアートに触れる楽しさ、体感してほしい」「見たあと、違う自分と出会えるはず」 「バンクシーって誰?展」のアンバサダー、中村倫也さんに聞く

「鮮やかで軽やか」「リアルなバンクシーに近づける」 「バンクシーって誰?展」アンバサダーの中村倫也さんに再び聞く

「バンクシーって誰?展」の音声ガイドの収録にのぞむ中村倫也さん