【プレビュー】平成生まれとして初の大規模展―― 「ユージーン・スタジオ 新しい海」 東京都現代美術館で11月開幕

ユージーン・スタジオ 《ゴールドレイン》(部分) 2019年 作家蔵 ©Eugene Kangawa

 

「ユージーン・スタジオ 新しい海」
会場 東京都現代美術館
会期 2021年11月20日(土)~2022年2月23日(水・祝)
休館日 月曜休館(1月10日、2月21日は開館)、12月28日~1月1日、1月11日は休館。
観覧料 一般1300円、大学生・専門学校生・65歳以上900円ほか。
アクセス 東京都江東区三好、東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口から徒歩9分、東西線木場駅3番出口から徒歩15分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口から徒歩13分、新宿線菊川駅A4出口から徒歩15分)
※最新情報は公式サイト(https://www.mot-art-museum.jp/)、展覧会特設サイト(https://mot-solo-aftertherainbow.the-eugene-studio.com)で確認してください。

※開催内容は、都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。

ユージーン・スタジオは、寒川裕人(1989年、アメリカ生まれ)による日本を拠点としたアーティスト・スタジオ。これまで資生堂ギャラリーでの個展「THE EUGENE Studio 1/2 Century later(2017)や金沢21世紀美術館でのグループ展「de-sport」(2020)などで、われわれの存在は何に拠っているのかを考えさせる作品の数々を発表。高い評価を得てきた。その代表作から未発表の最新作までを集めた本展では、その作品群を堪能できるだけでなく、活動の根本にある発想や哲学までもが見とおせる内容になっている。平成生まれの作家の個展は、東京都現代美術館では初めて。国際的な評価が高まりつつある現代の若手作家の全貌に、いち早く触れる機会ともいえる。

ユージーン・スタジオ 《善悪の荒野》2017年 作家蔵 ©Eugene Kangawa

まず紹介されるのは、2017年制作の《善悪の荒野》。スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年 宇宙の旅』のラストシーンに登場する白色の部屋を原寸大で再現したうえで破壊。さらにそれを風化させた彫刻作品だ。科学とテクノロジーの発展に象徴される未来像との決別を示し、物質の不安定さなどを想起させる内容になっている。

《群像》〈レインボーペインティング〉より 2021年 作家蔵 ©Eugene Kangawa

続いて新作の油彩<シリーズ(2021)。あらゆる色彩の無数の点で描かれた淡いレインボーグラデーションの新作だ。一見ただの白いカンバスに見える<ホワイトペインティング>シリーズも展示。世界各地で1枚につき100人ほどが接吻した真っ白なカンバス。「愛」という見えない存在について、それを「受容」することについて考えさせるものになるだろう。

ユージーン・スタジオ 〈ホワイトぺインティング〉より 2017年 作家蔵 ©Eugene Kangawa
ユージーン・スタジオ 〈ホワイトペインティング〉より 2017年 作家蔵 ©Eugene Kangawa

映像作品でも評価されているユージーン・スタジオ。その最新作《Our dreams | 夢》(2021)では、ドビュッシーの『夢』を世界各地で様々な奏者が空弾きしたものをつなぎ合わせた映像が展開される。人は何を共有できるのか。現実を飛び越え夢の物語を紡ぎだすことができるのか――

ユージーン・スタジオ 《Our dreams | 夢》2021年 作家蔵 ©Eugene Kangawa

このほか、巨大な金属の新作絵画シリーズ<私にはすべては光り輝いて映る>2021)、新作の彫刻作品《この世界のすべて》(2021)など。《ゴールドレイン》(2019)などのインスタレーション作品に至るまで、展示される作品は多様だ。最後に現れる新作の写真作品《小さな共通項(36人で見上げた空)》。複数人が一斉に空を撮影し、それを繋ぎ合わせた作品だ。どこまでもつながるその「空」は私たちの日常へ「新しい海」がつながっていることを気づかせてくれる。

ユージーン・スタジオ スタジオ風景 2021年 ©Eugene Kangawa

 

(読売新聞美術展ナビ編集班)

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