【プレビュー】ようこそ魔法学校へ―― 特別展「ハリー・ポッターと魔法の歴史」 兵庫県立美術館で9月11日開幕

特別展「ハリー・ポッターと魔法の歴史」 |
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会場:兵庫県立美術館(神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)、阪神岩谷駅(兵庫県立美術館前)から徒歩約8分、JR神戸線灘駅南口から徒歩約10分 |
会期:2021年9月11日(土)~11月7日(日)。月曜休館、ただし9月20日は開館し、9月21日を休館に |
開館時間:午前10時~午後6時(入館は閉館の30分前まで |
観覧料(日時指定制):一般1,800円(当日2,000円)、大学生1,300円(当日1,500円)、高校生以下無料、70歳以上1,000円など 各時間帯とも予約不要の「当日券」を会場にて若干数販売 |
2021年12月18日(土)~2022年3月27日(日)に東京ステーションギャラリーでも巡回する |
詳しくは公式サイト(https://historyofmagic.jp/)を参照 |
1990年6月、マンチェスターからロンドンへと向かう列車の中で、無名の作家J.K.ローリングに舞い降りたひとつのアイディア。それは、現代のファンタジー「ハリー・ポッターシリーズ」として結実し、20年以上にわたって世界中で愛されることになった。その源流には何があるのだろうか。
この展覧会ではハリーが学んだホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、イギリスをはじめ世界各国に伝わる魔法や呪文、占いなどの記録を10章に分けて紹介する。大英図書館が2017年に開催した“Harry Potter: A History of Magic”の国際巡回展で、日本での開催はロンドン、ニューヨークに次ぐもの。大英図書館による大規模展覧会が日本に巡回するのは初めてだという。

「魔法薬学」「錬金術」。魔術にとって薬づくりは欠かせない技術で、ボグワーツ魔法魔術学校でも必修科目だった。卑金属を貴金属に変える「錬金術」も同様。「ハリー・ポッター」シリーズ第1作に登場する「賢者の石」は永遠の命を与える「命の水」を生成することができると信じられ、中世ヨーロッパの錬金術師たちはその獲得に奮闘した。その作り方が記されたのが、4メートルもある巻物『リプリー・スクロール』だ。

「薬草学」と「呪文学」。薬効を持つ植物は古くから世界中の書物に記録されてきた。「アロホモーラ(開け)」、ウィンガーディアム・レヴィオーサ(浮遊せよ)」などの魔法の力を持つ言葉も、「ハリー・ポッター」のシリーズには欠かせない。呪文に関する文献も、豊富に本展では紹介される。


「天文学」も魔法学校の必修科目。大英図書館が所蔵するレオナルド・ダ・ヴィンチの「天体にまつわるメモとスケッチ」は世界に現存する約30冊のうちの1冊だ。「占い学」も世界中で重視された。手相占いやタロットなど、様々な占いが紹介される。


「闇の魔術に対する防衛術」、「魔法生物飼育学」など、興味深いテーマがまだまだ続く。今もなお、世界中のファンを惹きつけている「ハリー・ポッター」の世界。大人になったハリーを描いた舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』の衣装なども展示され、今なお広がっているその魅力が多角的に紹介される。神戸のあと、12月からは東京での巡回展示も予定されている。

(読売新聞美術展ナビ編集班)
展覧会の公式サイト(https://historyofmagic.jp/)