若き日の功績にも注目――「特撮の父」の生涯を紹介 「生誕120年 円谷英二展」

展覧会名:「生誕120年 円谷英二展」
会期:2021年8月17日(火)~11月23日(火、祝日)、月曜休室、9月7日(火)~10日(金)、9月26日(日)~10月3日(日)、10月12日(火)~15日(金)は休室
会場:国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋、JR東京駅八重洲南口から徒歩約10分、東京メトロ銀座線京橋駅出口1から徒歩約1分、銀座一丁目駅出口7から徒歩約5分、都営地下鉄浅草線宝町出口A4から徒歩約1分)
観覧料:一般250円、大学生130円ほか。
※最新情報は来館前にHP(https://www.nfaj.go.jp/exhibition/tsuburaya120/)で確認してください。
日本の映像界が世界に誇る特殊撮影の技術。それを駆使した『ゴジラ』や『ウルトラマン』などの作品は、今でも世界中で愛されている。その技術を切り拓き、「特撮の父」と言われたのが、円谷英二(1901-1970)。今年は生誕120年にあたる。円谷の出身地である福島県須賀川市との共催で行われる本展は、修業時代から晩年に至るまで円谷の生涯を網羅する内容になっている。

須賀川市で生まれた円谷は、日本映画草創期の名カメラマン・枝正義郎のもとで修業。関東大震災後にカメラマンとして一本立ちし、松竹下加茂撮影所で本格的な活動を開始し、『乱軍』などの撮影を担当した。円谷はどのようにして自らの撮影技術の基礎を作っていったのか。写真やポスター、雑誌などを通じ、その足跡をたどる。

アメリカ映画『キング・コング』(1933年)に衝撃を受けた円谷は、現在の東宝の前身のひとつ、J.O.スタヂオへの入社を機に、合成技術やスクリーン・プロセスといった撮影技術を深めていく。日独合作の『新しき土』(1937年、アーノルド・ファンク&伊丹万作監督)をきっかけに注目され、航空機をモチーフとした作品で特撮技術を大きく前進させる。日本映画界に特撮の意義を決定的に印象付けたのが、『ハワイ・マレー沖海戦』(1942年、山本嘉次郎監督)だった。

終戦後、不遇の時代もあった円谷だが、1954年の『ゴジラ』(本多猪四郎監督)で、日本映画に特撮映画・怪獣映画という新しいジャンルを切り開く。さらに1963年には「円谷特技プロダクション」(現・円谷プロダクション)を設立。『ウルトラQ』や『ウルトラマン』などで、テレビ界に特撮番組を定着させた。本展では、豊富な資料で晩年の活動をも振り返っていく。

今回、特に注目されるのは、イギリスの英国映画協会(BFI)で発見された円谷英二撮影作品『かぐや姫』(1935年、J.O.スタヂオ、田中喜次監督、海外向け再編集短縮版)。展示室のモニターでその一部が見ることができる。9月4、5日には、国立映画アーカイブ小ホールでの上映も企画されているという。詳細は後日、ホームページなどで告知とのこと。