【次回の日曜美術館】3年ぶりの舞台「ホリ・ヒロシ 人形風姿花伝」 7月18日朝放送

人形はあの世とこの世の境界を超え、 異空間へといざなう存在

【次回のEテレ・日曜美術館】

「ホリ・ヒロシ 人形風姿花伝」

放送時間:7月18日(日) 9:00~9:45 番組ホームページ

体長およそ170㎝の人形を、黒衣の男性が共に舞うようにしてつかう。
「人形舞」を創設した人形師、ホリ・ヒロシ(63歳)の優美で躍動感あふれる舞台である。

文楽とは違い、1人で遣う。人形劇とも違い、俳優やダンサーなど、さまざまなアーティストと共演する。作家として国内の展覧会や海外のビエンナーレに人形を出品するだけでなく、数多くの公演によって、日本の伝統と前衛のはざまに位置する新しい芸術分野を切り開いたと評価される。

能楽師と共演した「黄泉比良坂」(2012)。 被災地の福島で鎮魂の舞を捧げた

しかし、新型ウィルスの影響で公演の中止が相次ぎ、アトリエにこもって小さな人形を作るだけの日々が続いていた。さらに、ホリを後ろ向きにさせていたのは、3年前の妻の死だった。

人形舞の演出を手がけていた妻の舞位子は「同志」のような存在であり、その喪失感からずっと目を背けてきたが、ようやく今、3年ぶりに舞台に挑戦しようと気持ちを奮い立たせている。

新作「MAYA」。人々の苦を吸いとって昇華させる

新しい人形を作りたいと思うようになったのは、コロナで家族を亡くした人々の痛みを、他人事ではないように感じたことがきっかけだと言う。「愛する人をみとることができず、悲しみにちゃんと向き合えなくて、うまく前に進むこともできない。ここ数年、自分が抱えてきた所在のなさと似ていると思いました。少しずつでも喪失感を埋め、悲しみを昇華させてくれるような、何かそこに“在るもの”を、人形という“かたち”で表せないかと…」。

ホリにとって、人形は生と死のあわいに存在するもの。舞台でも長年、あの世との境界を行き来し、次元を超えていく者として描いてきた。ホリの代表作である『源氏物語幻想人形絵巻』などが能の世界観に通じると言われ、新しい日本の美と評されてきた由縁でもある。

1か月にわたる人形の制作。 ゼロから命を生み出す

番組では6月の新作公演に向けた、人形師ホリ・ヒロシの制作に密着。ホリが人生をかけて人形にこめてきた思いと、今この時代にこそ残したいと切望する美の形を探る。

(読売新聞東京本社事業局美術展ナビ編集班)

日曜美術館は、オリンピック・パラリンピックのため、7月25日・8月1日・8月8日・8月25日は休止。8月15日・22日はアンコール放送の予定。

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