竹内アンナさんが今秋、東西の重文建築でライブ 「建築と調和したパフォーマンスを届けたい」 「美術展ナビ」単独インタビュー

ライブでは巧みな歌唱とともに、ギターテクでも魅了する竹内さん

人気シンガーソングライターの竹内アンナさんが今秋、東西の重要文化財建築などを舞台にワンマンライブを開催する。建築物や展覧会を見て回るのが大好きで、「美術展ナビ」もよくチェックするという竹内さん。ライブへの抱負やアートに触れる喜びについてリモートでお話を伺った。(聞き手・読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)

竹内アンナさん:米ロサンゼルスに生まれ、5歳から京都で育つ。この春、地元の大学を卒業したばかりの23歳。ジャンルにとらわれない多彩でキュートな楽曲、ネイティブの英語も交えた透明感あふれる歌声、卓越したアコースティック・ギターのテクニックで注目のアーティスト。2018年にメジャーデビューし、テレビ、ラジオなどメディア出演は多数。KinkiKidsや伊藤美来ら著名アーティストへの楽曲提供も多い。「弾き語り  TOUR  2021  atELIRR-アトリエ-」は10月1日に大阪市中央公会堂(大阪府、重要文化財)、2日に自由学園明日館(東京都、同)、3日に千種文化小劇場(愛知)で開催する。詳しくは竹内アンナオフィシャルサイトへ。

憧れの建築物でライブ

Q 今回の「弾き語り  TOUR  2021  atELIRR-アトリエ-」はどういった経緯で実現しましたか。

A 美しい建築物を見るのがとても好きで、そうした舞台で歌ってみたいと以前からスタッフさんにお願いしていました。地元が関西なので、大阪市中央公会堂(※1)は小さいころからよく目にしていて、憧れの建物でした。

大阪の中心部に位置し、夜間はライトアップで一層印象的な大阪市中央公開堂(写真は同公会堂提供)

自由学園明日館(※2)はまだ伺ったことがないのですが、建物の写真を見るたびに素晴らしいなあ、とうっとり。先輩アーティストからも「あの舞台はいいよ」と聞かされていたので、ぜひと希望しました。

巨匠フランク・ロイド・ライトの設計で名高い自由学園明日館(東京都豊島区、写真は同館提供)

千種文化小劇場(※3)も360度、客席に囲まれる舞台だそうで、そういう環境で歌ったことがないので、こちらもぜひチャレンジしたいと考えました。

Q 建物によってパフォーマンスは変わるものですか。今回はご自身のギターと歌だけの弾き語りツアーですね。

A ライブハウスやコンサートホールでは、弾き語りを行う場合であっても音響システムを使って比較的大きな音で演奏しますが、今回は小さな会場なので音量や音響効果は抑えめになります。いかに会場の環境に合わせて演奏するか、がテーマになります。再現ができない一回性の演奏という点で難しさや、やりがいがあります。お客様にも、美しい建物と合わせて、そうした点を楽しんでもらえらたら嬉しいです。

庭園美術館に魅了され

Q 建物鑑賞が好きになったきっかけは何でしょう。

A 2年ほど前ですが、東京の事務所の近くに東京都庭園美術館(※4)があり、毎年恒例の建物公開展のときに伺いました。別世界のような美しさであっという間に夢中になりました。東京都内とは思えないほど緑が豊かで、アール・デコの建築や内装にワクワク。100年ほど前、実際に皇族の方が暮らしていたと想像すると夢みたいで。今や年パス持ちです(笑)。カフェに寄って気持ちを落ち着けてから仕事に向かうなどします。大切なスポットです。

旧朝香宮邸で、アール・デコ様式で有名な東京都庭園美術館(東京都港区)

Q そのほかのおすすめは。

A     旧前田家本邸(東京・目黒)は和洋の融合が素晴らしく、センスのよさに驚きます。鳩山会館(同・音羽)も好きです。地元の京都では下鴨神社に近い旧三井家下鴨別邸がおすすめです。

箱根の美術館巡りを楽しんだ竹内さん(ポーラ美術館で)

アートあってこその暮らし

Q 展覧会もお好きですね。

A 先日、箱根の美術館巡りをしてきました。箱根に行くのも初めてで、ポーラ美術館、箱根ガラスの森美術館、箱根ラリック美術館、箱根彫刻の森美術館とハシゴして満喫しました。ポーラ美術館では、「美術展ナビ」に紹介されていた「モネー光のなかに」展をぜひ見たかったので楽しみにしていました。

モネの《睡蓮の池》と竹内さん(ポーラ美術館で)

予想通りにとても新鮮な鑑賞体験で、不思議な空間に入り込んだようでした。記事を読んでいたので、同行してくれた友達に「どこから光が出ているか知っている?」「足元に影がないんだよ」といろいろと教えてあげられました(笑)。レオナール・フジタの「フジター色彩への旅」展も印象的で、旅先ごとに作風が変わっていくフジタの才能に驚きました。

Q 今、行ってみたい展覧会は。

A パナソニック汐留美術館の「サーリネンとフィンランドの美しい建築展」と、東京国立博物館の「イスラーム王朝とムスリムの世界」が気になりますね。チャンスをみてぜひ足を運びたいと思います。

Q コロナ禍で博物館や美術館は苦しい運営が続いています。

A 自分の事で言えば、アートに触れることで精神面が充実しているからこそ、音楽活動も豊かになるという不可分な関係にあると思います。展覧会などに行った際にはなるべくSNSで発信するようにしているのですが、そうした書き込みを目にした方が展覧会に足を運んでくれると嬉しいです。

Q 今後のご自身の活動について。

A 東京や大阪以外にも、素敵な建築物は全国各地にあるので、こうした取り組みは今後も続けていきたいです。知らない建築物と出会えるのは刺激的です。

(おわり)

<竹内アンナ弾き語り TOUR 2021 atELIER -アトリエ->

10月1日(金) 大阪市中央公会堂 中集会室

開場18:30/開演19:00

(問)キョードーインフォメーション 0570-200-888

 

10月2日(土) 東京 自由学園 明日館

昼公演:開場14:00/開演14:30

夜公演:開場17:00/開演17:30

(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

 

10月16日(土) 名古屋 千種文化小劇場

開場13:00/開演13:30

(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

 

オフィシャルホームページにて先行チケット受付中

https://sma-ticket.tstar.jp/artist/takeuchianna

<竹内アンナ アコースティック・セルフカバー>

6/26 配信リリース「ALRIGHT -Acoustic Session-

7/10 配信リリース「SUNKISSed GIRL -Acoustic Vacation-

7/24 配信リリース「Love Your Love -Acoustic Motion-

(※1)大阪市中央公会堂:大阪市の中心部、中之島に建つネオルネッサンス様式の重要文化財。1918(大正7)年の竣工。以来、一流アーティストによるオペラやコンサート、各界著名人の講演会などが開催され、大阪の文化・芸術の発展に大きな役割を果たす。

(※2)自由学園明日館:1921(大正10)年、羽仁もと子、吉一夫妻が創立した自由学園の校舎として、アメリカが生んだ巨匠フランク・ロイド・ライトの設計により建設。敷地の南側に建つ講堂は遠藤新の設計で1927(昭和2)年に完成。1997(平成9)年に国の重要文化財に指定される。

(※3)千種文化小劇場:名古屋市千種区にあるホール。中央舞台を251席の客席が取り囲む。

(※4)東京都庭園美術館:旧朝香宮邸。朝香宮ご夫妻が自邸建設の際、フランス留学時に魅了されたアール・デコ様式を取り入れ、1933(昭和8)年に竣工。その後、吉田外相・首相公邸、国賓、公賓の迎賓館(白金迎賓館)として使用され、1983(昭和58)年から東京都庭園美術館。

(読売新聞美術展ナビ編集班 岡部匡志)